記事検索

ニュースバリューとは?メディアに取り上げられるための7つの要素と高め方を解説

ニュースバリューとは?メディアに取り上げられるための7つの要素と高め方を解説

プレスリリースを配信しても、思うようにメディア掲載につながらないことは少なくありません。企業にとって重要な発表であっても、読み手や社会にとってのニュース価値が伝わらなければ、メディアに取り上げられにくいためです。

本記事では、ニュースバリューの考え方から、自社情報の魅力を整理する方法、ニュース価値を届ける具体的なプレスリリースの書き方まで解説します。

目次
  1. ニュースバリューとは:メディアが報道を判断する基準

  2. ニュースバリューを構成する7つの要素

  3. プレスリリースで自社のニュースバリューが伝わらない5つの原因

  4. 自社の情報にニュースバリューを見いだす5つの方法

  5. ニュースバリューを高めるプレスリリースの書き方実践5ステップ

  6. ニュースバリューを高めようとして失敗するパターンと対策

  7. メディアに取り上げられた成功事例に学ぶニュースバリューの伝え方

  8. まとめ:ニュースバリューを意識した情報発信がメディア掲載につながる

ニュースバリューとは:メディアが報道を判断する基準

ニュースバリューとは、メディアが「読者にとって知る意味があるか」「この情報を報道する価値があるか」を見極める際の考え方です。まずは、ニュースバリューとはどのような考え方なのかを解説します。

ニュースバリューとは

ニュースバリューの定義:報道に値する情報かどうかの判断基準

ニュースバリューとは、メディアが報道する価値のある情報かどうかを判断するための基準です。企業にとって重要な発表であっても、そのままではニュースとして扱われないことがあります。

その理由は、企業とメディアでは情報を見る視点が異なるためです。企業は自社にとっての重要性を重視しますが、メディアは読者や社会にとっての関心や影響を重視します。

そのため広報PR活動では、自社が伝えたいことだけでなく、社会や読者にとってどのような意味があるのかを整理しましょう。

ニュースバリューと広告価値・広告換算値との違い

ニュースバリューは、広告とは異なる考え方です。広告は企業が伝えたい内容を発信する手法である一方、ニュースはメディアが読者や社会にとって価値のある情報だと判断した場合に取り上げられます。そのため、自社にとって重要な発表であっても、メディアに取り上げられるとは限りません。

また、広告換算値とも役割が異なります。広告換算値は、掲載面積や掲載時間などをもとに露出量を広告費へ換算した指標です。一方、ニュースバリューは、その情報にどのような社会的意義や関心があるかを示す考え方です。

メディア掲載を評価する際は、露出量だけでなく、なぜその情報が取り上げられたのかという視点で振り返りましょう。

ニュースバリューを構成する7つの要素

ニュースバリューは、単一の要素だけで決まるものではありません。複数の要素が重なることで、メディアにとって魅力的な情報になります。

メディアによって重視するポイントは異なるので、自社の情報がどの要素を持っているのかを整理し、切り口を考えることが重要です。ここでは、メディアが注目しやすい代表的な7つの要素について解説します。

新規性:「初めて」「新しい」がもっとも基本的なニュース価値

ニュースバリューの土台となる要素が新規性です。これまでになかった取り組みや新しい視点を持つ情報は、人の関心を集めやすくなります。

「初」を打ち出す際は、調査範囲や定義を明確にする必要があります。根拠が曖昧なまま表現してしまうと、メディア側も扱いにくくなります。範囲や条件を明示することで、信頼性を担保しながら新規性を伝えられます。

ただし、新しさだけでは記事化につながらない場合もあります。社会課題やトレンドとの接点を加えることで、「なぜ今取り上げる意味があるのか」が伝わりやすくなります。

社会性:社会課題や公共の関心事とのつながり

社会課題や公共性と結びつく情報は、メディアでも注目されやすくなります。少子高齢化、人手不足、環境問題、地域活性化など、多くの人に関係するテーマは社会的関心を集めやすい傾向があります。

企業活動そのものよりも、社会にどのような影響があるのかが見えることで、情報の意義が伝わりやすくなります。自社の取り組みを社会課題の解決という文脈で捉え直すことで、幅広いメディアや読み手にとっての意義を示しやすくなります。

特にBtoB企業やスタートアップでは、商品やサービスそのものよりも、どの社会課題を解決するのかという社会性が重視されるケースもあります。

時事性:今の世の中の関心事・トレンドとの関連

ニュースでは、なぜ今伝えるのかという時事性も重視されます。世の中で注目されているテーマと関係する情報は、生活者の関心とも結びつきやすくなります。同じ内容でも、時代背景やトレンドとの接点があることで、ニュースとしての注目度が変わる場合があるでしょう。

また、配信のタイミングも重要です。社会的な注目が高まっている時期に合わせることで、情報が受け取られやすい状況をつくれます。季節のイベントや政策の変化、業界の動向なども、発信タイミングを考えるうえでの手がかりになります。

独自性:他にはない唯一の取り組み・ポジション

独自性も、ニュースバリューを高める重要な要素です。情報があふれる中では、他と同じに見える情報は埋もれやすくなります。その企業ならではの強みや視点がある情報は、メディアでも差別化しやすくなります。

なぜこの会社がこの取り組みをしているのかという背景が見えると、情報への納得感が高まります。事業の歴史や顧客基盤、地域との関係性など、他社には持ちえない背景も独自性のひとつとして活かせます。

意外性:常識を覆す・予想外の切り口

意外性のある情報も、人の関心を引きやすいニュース要素のひとつです。既存イメージとのギャップがある取り組みは、思わず理由を知りたくなるきっかけになります。単に目立つことを狙うのではなく、その取り組みが生まれた背景や目的まで伝えることが大切です。

意外性を見つけるには、自社では当たり前になっていることを外部視点で見直してみましょう。社内ではごく普通の取り組みでも、業界外の人から見ると新鮮な発見になる場合があります。

影響性:多くの人の生活や業界に影響を与えるスケール

多くの人や業界に影響を与える情報は、注目を集めやすくなります。生活や働き方、市場動向などに変化を与える情報は、社会的な関心とも結びつきやすい傾向です。

影響範囲が大きいほど、多くの人に関係する話題として認識されやすくなります。企業の規模が小さくても、特定の地域や業種において影響力のある取り組みであれば、その範囲に絞って価値を伝えることができます。

人間性:共感を呼ぶストーリーや人物の存在

ニュースでは、数字や機能だけでなく、人の想いや背景も重要な要素です。開発のきっかけや課題解決までの過程が見える情報は、読み手の関心や共感を得やすくなります。

たとえば、担当者がどのような課題意識から取り組みを始めたのか、どのような試行錯誤を重ねたのかといった背景が伝わると、情報への理解が深まりやすくなります。

プレスリリースに担当者コメントや利用者の声を盛り込むことで、事実だけでは伝わりにくい価値や思いを届けやすくなるでしょう。

なお、ニュースバリューに絶対的な正解はありません。どの要素が重視されるかは、メディアの読者層や媒体特性によって異なります。

PR TIMES MAGAZINEのメディア関係者インタビューでも、『トラベル Watch』『グルメ Watch』では新規性や話題性、『Web担当者Forum』では時流・季節性や社会性が重視されることが語られています。

また、ニュース価値を考える際には、今回紹介した7つの要素に加えて「メディアフック」の考え方も参考になります。メディアフックとは、記者や編集者がニュースとして取り上げたくなるきっかけのことです。時流・季節性、話題性、地域性、社会性・公益性など9つの要素で整理されています。

詳しくは関連記事も参考にしてみてください。

プレスリリースで自社のニュースバリューが伝わらない5つの原因

プレスリリースを配信しても、内容の見せ方によってはニュースバリューが十分に伝わらないことがあります。広報PR活動でよくある5つのパターンについて解説します。

1.自社目線の宣伝文になっている

新商品の発売や業界最高水準の性能など、自社が伝えたい情報だけを並べても、メディアには取り上げられにくい場合があります。メディアが重視しているのは、企業にとっての重要性ではなく、読者や社会にとっての価値です。

自社にとって大きなニュースであるほど、その価値は自然に伝わると考えてしまいがちです。しかし記者は、読者にどのような影響があるのか、なぜ注目する意味があるのかという視点で情報を見ています。

商品やサービスの特徴を説明するだけでなく、どのような課題の解決につながるのか、社会や生活者とどのような接点があるのかまで整理しましょう。企業目線の発信から、読者目線の情報発信へと視点を切り替えることが重要です。

2.タイトルにニュースバリューが反映されていない

ニュースバリューがあっても、タイトルで伝わらなければ内容を読まれにくくなります。たとえば、新サービスの開始を伝えるだけでは、何が新しいのか、なぜ注目する価値があるのかが伝わりません。

記者や編集者は日々大量のプレスリリースに目を通しています。そのため、タイトルを見た瞬間に内容が理解できなければ、本文まで読まれないこともあります。

タイトルには、調査結果や対象者、独自性など、ニュースの核となる情報を盛り込むことが重要です。ひと目で内容が伝わるかどうかを意識して見直してみましょう。

3.社会的文脈との接続がない

情報そのものに価値があっても、その情報が今求められている理由が伝わらなければ、ニュースとしての意味は伝わりにくくなります。

広報PR担当者は自社の取り組みや成果を中心に伝えようとしがちですが、記者や編集者は社会との接点を意識して情報を見ています。人手不足やインバウンド需要、生成AIなど、社会的な関心が高まっているテーマとの関係が見えないと、生活者にとっての価値も伝わりにくくなります。

自社の取り組みを発信する際は、その情報が社会の変化や生活者の課題とどのようにつながるのかを整理してみましょう。同じ内容でも、背景にある社会的な文脈を示すことで、情報の受け取られ方は大きく変わります。

4.新規性や独自性が伝わっていない

他社との違いが見えない情報は、埋もれやすくなります。新商品の発売やサービス開始を伝えるだけでは、その情報ならではの価値が伝わりません。

広報PR担当者は日頃から自社の商品やサービスに触れているため、その特徴や強みを理解していますが、記者や生活者は同じ前提知識を持っていません。どこが新しいのか、既存の商品やサービスと何が違うのかが明確でなければ、その情報の魅力を判断しにくくなります。

情報発信を行う際は、地域や業界の中でどのような特徴があるのか、どのような背景から生まれたのかまで整理することが大切です。自社ならではの強みを具体的に示すことで、情報の価値が伝わりやすくなります。

5.情報の裏付けとなる数値・データがない

数値やデータによる裏付けが不足していると、情報の説得力は弱くなります。利用者から好評を得ていることや業務効率化に役立つことを伝えるだけでは、その効果の大きさがわかりにくいためです。

広報PR担当者は社内で共有されている実績や手応えを前提に話してしまうことがあります。しかし、記者や編集者は客観的な根拠を重視します。利用者数や導入企業数、改善率などが示されていなければ、情報の価値を判断しにくくなります。

情報発信を行う際は、社内データやアンケート結果、市場調査などを活用しながら、事実を裏付ける材料を整理することが大切です。具体的な数値が加わることで、情報の信頼性や説得力が高まります。

自社の情報にニュースバリューを見いだす5つの方法

ニュースバリューは、特別な企業だけが持つものではありません。情報の切り口や見せ方によって、新たな魅力が見えてくる場合もあります。ここでは、自社情報からニュースバリューを見いだすための5つの方法を解説します。

プレスリリース配信

社会トレンドと自社情報を掛け合わせる

自社の取り組みがニュースになりにくい場合でも、社会トレンドや生活者の関心事と結び付けることで、新たな切り口が見つかることがあります。

たとえば、人手不足や働き方改革、生成AI、サステナビリティ、防災対策など、近年注目されているテーマと自社の事業や取り組みに接点がないかを探してみましょう。

日頃から業界ニュースや調査レポート、行政の発表資料などに目を通しておくと、社会的な関心の高まりと自社情報を結び付けやすくなります。

今どのようなテーマに注目が集まっているのかから逆算して情報を見直すことで、新たな切り口が見えてきます。

「初」「No.1」になれるカテゴリーを探す

ニュースバリューを見つける際は、日本初や業界No.1といった実績そのものを探すだけでなく、自社の強みをどの切り口で表現できるかを考えることも重要です。

全国規模では目立たなくても、特定の業界や地域、対象顧客に絞ることで独自のポジションが見えてくることがあります。業界向けサービスとして国内初、県内初の取り組み、中小企業向けでは最大規模なども、その一例です。

また、商品やサービスだけでなく、制度や取り組み、調査結果の中にも独自性が隠れている場合があります。自社の特徴を整理しながら、どの領域で強みを発揮しているのかを見直してみることで、新たなニュースの切り口が見えてくるでしょう。

数値・調査データで客観性を加える

問い合わせ件数や利用者数、販売実績、アンケート結果など、社内に蓄積されたデータの中には、ニュースの切り口になる情報が眠っていることがあります。

たとえば、利用者数が前年比1.5倍に増加した、特定のサービス利用者数が過去最高を記録したといった数字の変化は、注目を集めやすいテーマです。また、顧客アンケートや独自調査の結果から、業界の変化や生活者ニーズが見えてくることもあります。

普段は社内資料として活用しているデータでも、視点を変えることで新たな発信のヒントが見つかるかもしれません。まずは自社にどのようなデータがあるのか整理してみましょう。

社内に眠るストーリーを掘り起こす

ニュースになるのは、新商品や新サービスだけではありません。開発の背景や試行錯誤の過程、顧客とのエピソードなど、人の思いや行動が見える情報もニュースの種になります。

商品を開発したきっかけや解決したかった課題、完成までに乗り越えた苦労などを掘り下げることで、その取り組みへの理解が深まりやすくなります。

創業者や社員の経験、顧客から寄せられた声も貴重な情報源です。事実だけでなく、その背景にある思いや経緯に目を向けることで、自社ならではのストーリーが見えてくるでしょう。

第三者視点で「なぜ気になるか」を考える

自社では当たり前だと思っていることでも、外部から見ると意外な魅力や独自性として受け取られることがあります。長年続けている制度や業務の工夫、顧客対応の仕組みなども、視点を変えるとニュースの種になる場合があります。

ただし、自社だけで価値を判断するのは簡単ではありません。ニュースバリューを探す際は、営業担当者や新入社員、取引先などに「この会社の特徴は何だと思うか」を聞いてみるのも有効です。

社内では見過ごしていた取り組みが、第三者の視点を通すことで強みとして見えてくることがあります。自社の情報を客観的に見直すきっかけとして、外部の意見も活用してみましょう。

ニュースバリューを高めるプレスリリースの書き方実践5ステップ

自社情報のニュースバリューを見いだせたら、次はプレスリリースでどう伝えるかを整理していきます。ここでは、メディアや読み手に伝わりやすくするための5つのステップを解説します。

ステップ

STEP1.自社情報の「ニュースバリューの棚卸し」をする

まず、プレスリリースで活用できる素材を洗い出します。新商品や新サービスだけではなく、開発背景や社内制度、調査結果、顧客の声なども含めて整理することが大切です。

発表できるほど大きなニュースがないと感じ、発信の手が止まってしまうケースは少なくありません。しかし、記者が関心を持つのは新商品や新サービスだけではありません。

開発の裏側にあるストーリーや、顧客から寄せられた声、現場で見えている社会課題などが記事の切り口になることもあります。

たとえば、以下の情報も、ニュースの種になります。

  • 顧客から特に反響があった取り組み
  • 数字で示せる成果や変化
  • 社会課題やトレンドとの接点
  • 担当者だからこそ語れる開発秘話

自社の情報を幅広く書き出し、ニュースバリューの高いテーマを探してみましょう。

STEP2.7つの要素に照らして切り口を決める

情報を洗い出したら、次は何を中心に伝えるかを決めます。同じ情報でも、地域初の取り組みとして伝えるのか、社会課題への対応として伝えるのかによって、受け取られ方は変わります。

新サービスを発表する場合でも、新規性だけでなく、人手不足の解消や業務効率化といった社会的な意義を組み合わせることで、ニュースとしての魅力が高まることがあります。

まずは、自社の情報の中でもっとも伝えたいポイントを整理してみましょう。そのうえで、7つの要素のうち何を主軸にするかを決め、関連する要素を組み合わせることで、伝えるべきメッセージが明確になります。

STEP3.タイトル・リード文にニュース価値を凝縮する

ニュースバリューがあっても、タイトルやリード文で伝わらなければ内容を読まれにくくなります。記者や編集者は限られた時間の中で多くのプレスリリースを確認しているため、何が新しく、誰に関係する情報なのかがひと目でわかることが重要です。

たとえば、同じ内容でもタイトルの付け方によって伝わるニュース価値は変わります。

【Before】
新サービス提供開始のお知らせ

【After】
中小企業の営業業務を最大30%削減。AI活用の営業支援サービスを提供開始

後者のように、対象者や提供価値まで具体的に示すことで、記者や読み手が内容をイメージしやすくなります。

また、リード文では発信の背景や社会との接点を簡潔に伝えましょう。なぜ今発信するのかまで含めて整理することで、ニュースとしての価値が伝わりやすくなります。

STEP4.データ・事例・コメントで信頼性を補強する

ニュースとしての説得力を高めるには、客観的な情報を加えることが欠かせません。利用者数や調査データ、市場動向などを示すことで、どの程度注目されているのかが伝わりやすくなります。

自社の取り組みやサービスの価値を理解していると、背景説明だけで十分だと感じてしまうことがあるでしょう。一方で、記者は情報の信頼性を重視しています。特に記事化する際は、客観的な裏付けや第三者視点の情報があるほど扱いやすくなります。

たとえば、導入企業数や利用者アンケートの結果、前年比データなどを加えることで、情報の信頼性を高めることが可能です。また、担当者コメントや利用者の声を添えることで、数字だけでは伝わりにくい背景や取り組みの意図も伝えやすくなります。

STEP5.第三者の目でニュース価値が伝わるかチェックする

最後に、自社を知らない人が見ても内容を理解できるかを確認します。社内では当たり前の情報でも、記者や生活者には価値が伝わりにくい場合があります。

配信先のメディアがどのようなテーマを扱っているのか、過去にどのような記事を掲載しているのかを事前に調べておくことも重要です。媒体の読者層や関心テーマを理解したうえで情報を整理することで、ニュース価値が伝わりやすくなります。

配信前には、以下の項目をチェックしてみましょう。

チェックポイント





チェックリストとして確認することで、見落としを防ぎやすくなります。

ニュースバリューを高めようとして失敗するパターンと対策

ニュースバリューを高めようとする際、伝え方を間違えると信頼性を損なってしまうことがあります。ここでは、起こりやすい失敗パターンとその対策について解説します。

失敗パターン1.むやみに「日本初」「業界初」を打ち出してしまう

根拠が曖昧なまま、「日本初」や「業界初」といった表現を使ってしまうことがあります。調査範囲や定義が不明確な状態では、メディア側も扱いにくくなります。

背景には、少しでもニュース性を高めたいという社内の期待がある場合も少なくありません。特に経営層や事業部門から、より強い訴求を求められ、十分な裏付けがないままインパクトのある表現が使われてしまうケースもあります。

ニュースバリューは誇張によって生まれるものではありません。全国規模での初やNo.1を目指すのではなく、地域や業界、対象顧客を絞って自社の強みを整理することで、信頼性のある情報発信につながります。

失敗パターン2.トレンドワードだけを並べてしまう

話題になっている言葉を並べるだけでは、情報の魅力は伝わりません。実際にそのテーマとどのような関係があるのかまで説明できなければ、流行に乗せただけという印象になりやすくなります。

背景には、マーケティングと広報の役割分担が曖昧になっているケースもあります。マーケティングでは検索需要や話題性が重視される一方、広報では社会性やニュース性が求められます。その違いが整理されていないと、生成AIやDXなどの注目キーワードを並べること自体が目的になってしまうことがあります。

トレンドを活用する際は、そのテーマと自社の取り組みがどのようにつながっているのかを具体的に説明しましょう。背景や目的まで伝えることで、情報の説得力も高まります。

失敗パターン3.要素を詰め込みすぎて焦点がぼやける

多くの要素を一度に盛り込みすぎると、何を伝えたいのかが見えにくくなります。その背景には、事業部門や営業部門、経営層など複数の関係者が関わる中で、伝えたい情報が次々と追加されてしまうことがあります。その結果、情報量は増えても、主張の軸がわかりにくくなってしまうでしょう。

ニュース価値を高めるためには、伝える情報を増やすのではなく、もっとも伝えたいポイントを明確にすることが大切です。主軸となるメッセージを決めたうえで関連情報を整理することで、価値が伝わりやすくなります。

メディアに取り上げられた成功事例に学ぶニュースバリューの伝え方

メディアで取り上げられているプレスリリースを見ると、社会との接点や生活者にとっての意味を整理して発信しているケースが多くあります。実際の企業プレスリリース事例をもとに、どのようにニュースバリューを設計しているのかを解説します。

事例1.パナソニック株式会社

パナソニックは、小世帯向け家電を紹介する際、商品紹介にとどまらず、近年増加している単身世帯・夫婦のみ世帯といった社会背景を軸に情報発信を行いました。小世帯化の進行やタイパ・スペパ需要の高まり、家電に求められる価値観の変化などを複数の調査データとともに紹介しています。

特徴的なのは、商品そのものではなく、生活者の変化を起点に情報を構成している点です。小世帯化が進む社会背景や、家電選びの価値観が変化していることを示したうえで、ニーズを整理しています。

そのうえで家電を紹介することで、単なる商品情報ではなく、暮らしや消費行動の変化を伝えるニュースとして設計しています。プレスリリースを作成する際は、商品やサービスの説明の前に「この情報は生活者のどんな変化に関係するか」という問いを立ててみましょう。社会背景や生活者の変化と自社の取り組みを結び付けて書き始めることで、情報の受け取られ方が変わります。

参考:小世帯のくらしに寄り添う“コンパクトなのに上質で心地よく過ごせる家電”を提案

事例2.株式会社よーじや

よーじやは、2025年のリブランディング発表において、ロゴ刷新だけではなく、「みんなが喜ぶ京都にする」という新たな企業方針を打ち出しました。

プレスリリースでは、インバウンド増加による京都の変化や地域住民との関係性にも触れながら、リブランディングに至った背景を説明しています。

注目したいのは、ロゴ刷新という事実だけでなく、その背景まで丁寧に伝えている点です。代表コメントでは、観光客向けブランドとして成長する一方で、地元の人々にとって距離のある存在になっていたという課題認識が語られています。

また、おみやげの店からおなじみの店への転換という方向性を示すことで、単なるデザイン変更ではなく、企業としての意思表明として受け取られやすい構成になっています。

リブランディングを発信する際は、変更内容だけでなく、その背景や目的まで伝えることが重要です。企業がどのような課題意識を持ち、何を目指しているのかが伝わることで、情報への理解も深まりやすくなります。

参考:「みんなが喜ぶ京都にする」を掲げてリブランディング「おみやげの店」から「おなじみの店」へ

事例3.株式会社太陽社

太陽社は、生プリンアイスの再販にあたり、発売後すぐに完売した実績を前面に打ち出して情報発信を行いました。プレスリリースでは、幻のアイスとして話題になった経緯や、再販に至る背景を紹介しています。

特徴的なのは、商品そのものの説明にとどまらず、話題化した実績をニュースの切り口として活用している点です。タイトルや見出しでも完売実績を強調することで、思わず続きを読みたくなる構成といえるでしょう。

また、プリンの日に合わせて発売することで時事性も加えています。商品やサービスを発信する際は、実績や話題性、季節イベントなどと組み合わせることで、ニュースとして伝えやすくなる場合があります。

参考:【秒速完売した幻のアイス】“生プリンアイス”が今年もプリンの日に帰ってくる!

まとめ:ニュースバリューを意識した情報発信がメディア掲載につながる

ニュースバリューとは、なぜ今伝える必要があるのか、誰にどのような価値があるのかを整理するための考え方です。メディア掲載につなげるためには、自社目線ではなく、社会や生活者の視点で情報を捉え直しましょう。

ニュースバリューを高めるポイントは以下の通りです。

  • 新規性や社会性などの要素から情報を整理する
  • 社会トレンドや課題と結び付けて発信の背景を明確にする
  • 数値やデータを活用して客観性を補強する
  • タイトルやリード文で要点を端的に伝える
  • メディアの特性に合わせて切り口を調整する

社内制度や開発背景、顧客の声など、日常業務の中にもニュースの種は隠れています。普段は当たり前だと思っている取り組みでも、切り口を変えることでニュースとしての魅力が見えてくる場合があります。そうした積み重ねが、継続的な情報発信やメディアとの接点づくりにつながるでしょう。

【関連記事】

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をする

この記事のライター

石田千尋

石田千尋

ライター・編集者。人材業界やIT企業での人事職を経て、現在は企業の採用広報やオウンドメディア、PRコンテンツ制作に従事。企業noteや採用サイト向けコンテンツのほか、ビジネスメディアでのインタビュー記事制作などに携わる。

このライターの記事一覧へ