プレスリリースの配信を重ねているのに、なかなかメディアに取り上げてもらえない。そんな悩みを抱えている広報PR担当者は少なくありません。その背景には、プレスリリースの特性やデメリット・注意すべき点を事前に整理できていないまま配信を続けているケース、ニュースバリューの設計が十分でないケースなど、さまざまな要因が考えられます。
本記事では、プレスリリースが持つデメリットと注意すべき点、実務でよく見られる失敗例を把握したうえで、成果につなげるための具体的な対策を解説します。
プレスリリースとは
プレスリリースは企業からの公式な情報発信であり、メディア掲載を通じた信頼性向上やSEO効果など、多角的なメリットをもたらす広報ツールです。デメリットを正確に理解する前提として、まずは、プレスリリースが本来持つ価値と役割を整理しておきましょう。

プレスリリースの定義と基本的な役割
プレスリリースとは、企業や団体が報道機関に向けて公式情報を発信する文書です。具体的には、新商品の発表や調査結果、業務提携といった情報を、ニュース形式で伝えるために活用されます。メディアが公平な視点で「ニュース」として報じることにより、自社の発信内容が社会的な信頼を得られる点が最大の特徴です。自ら「良い商品だ」とアピールする広告とは異なり、メディアという第三者の客観的な視点を介することで、情報の説得力が格段に高まります。
この「公平な視点を通した信頼の獲得」という本質を理解できていないと、どれだけ配信を重ねても期待した成果は得られません。PR TIMESのような配信プラットフォームでは月間数万件のプレスリリースが流通していますが、記者が目を通すのは、タイトルの時点で社会的な価値を感じた一部の素材に限られます。
広告と同じ感覚で自社の宣伝を並べてもメディア関係者の目には止まらないという現実を知ったうえで、戦略的に取り組むことが重要です。
プレスリリース配信で期待できる主な効果
プレスリリース配信の主なメリットは、①メディア露出②信頼性向上③SEO・検索流入の3点です。特にメディア掲載とデジタル拡散の組み合わせによって、認知が広がります。
①メディア露出:
ニュースサイトや新聞・Webメディアへ記事が転載されれば、従来の広告では届かなかった層への認知拡大が可能です。
②信頼性向上:
メディアは第三者の公平な視点で情報を記事にするため、掲載された内容は企業の信用強化に直結します。掲載実績は営業資料や採用活動に二次利用することでさらなる成果につなげられます。
③SEO・検索流入:
リリース記事や転載記事が検索結果に表示されることで、指名検索や関連キーワードからの流入増加につながります。PR TIMESの掲載記事が検索結果に表示されるケースは多く確認されています。
実務では、掲載後の二次利用(営業・SNS)まで設計することで、効果をさらに最大化できます。
プレスリリースや配信サービスのメリットや効果は以下の記事を参照してください。
プレスリリースのデメリットと言われてしまう点と配信前に知っておくべき注意点
プレスリリースには、活用を検討するうえで事前に把握しておくべきデメリットがあります。それぞれの背景と対策をセットで理解することで、実務での対処がしやすくなります。

掲載の確約や掲載内容のコントロールができない
プレスリリースを配信しても、必ず記事になる保証はありません。また、掲載が決まった場合でも、記事の見出しや文章をどう構成するかはメディア側に決定権があります。
メディアは独自の視点で情報を精査し、読者に伝えるべき内容を編集する立場にあるからです。記事の内容を最終的に決めるのはメディア側であるため、重要な情報は記者がそのまま使いやすい形式で伝える工夫が求められます。絶対に削られたくない数値や事実関係は、余計な言葉を省いて短く正確に記載しましょう。あらかじめ簡潔にまとめておくことで、意図しない情報の欠落を防ぎ、正確な報道につなげることができます。
取材や記事化の過程で、メディアから事業の課題など厳しい視点の質問を受けるケースもあります。想定される質問に対する回答を作成し、リスクを回避する準備をしておくことも重要です。
コントロールできない厳しい基準をクリアし、メディアに掲載された情報だからこそ、自社の宣伝では得られない高い社会的信用を獲得できるという強みに変わります。
ニュース性が乏しいと情報が埋もれる
月に数万件も配信されるプレスリリースの中で、単なる自社都合のお知らせは記者に開封すらされずに終わってしまいます。
メディアが求めているのは「企業が売りたい商品」ではなく「社会の課題解決に役立つ情報」で、宣伝色が強い内容は敬遠されます。「社会のどんな課題を解決するのか」「何が新しいのか」という視点を原稿に盛り込むことが重要です。世の中のトレンドと結びつける工夫によって、無数の情報に埋もれない価値あるニュースへと進化することができます。
情報収集やすり合わせなど、社内調整に労力がかかる
プレスリリース作成そのものよりも、現場へのヒアリングや事業部・法務・経営層との内容のすり合わせに多くの時間が取られます。
広報部門だけでは正確な一次情報を持っていないケースがほとんどです。そのため、誤発信を防ぐには、他部門を含めた事実確認やリスク管理のプロセスが必要になります。
「配信前日に内容が変わる」事態を防ぐためには、事前に社内用のヒアリングシートを用意し、誰がいつ確認するかのルールを明確に決めることが有効です。社内調整のプロセスを整備することは、広報PR担当者が社内のハブとして機能するための土台づくりでもあります。ヒアリングシートや確認フローを用意しておくことで、次回以降の調整コストを着実に下げることができます。
配信後の修正が難しい
一度インターネット上に公開した情報は、企業側の都合で後から完全に修正・取り消しすることが難しくなります。情報は瞬時に拡散され、提携サイトや個人のSNSなどに転載・保存される可能性もあるためです。
誤った価格や事実と異なる情報を出さないよう、配信前に複数人で誤字脱字や数値、事実関係を確認する仕組みを整えましょう。「簡単に修正できない」からこそ、厳密な確認を経て発信されるプレスリリースは、公式文書としての信頼性を高めることにつながります。
効果がすぐに見えにくい、効果測定(KPI設定)が難しい
プレスリリースは配信コストをかけてもすぐに売上や問い合わせに結びつくとは限らず、費用対効果を数値で示しにくい側面があります。一方で、広告のように短期的な購買を促す施策とは異なり、中長期的に認知拡大や社会的信頼の獲得を目指す広報PR施策です。
短期的な売上で評価するのではなく、「メディアからの問い合わせ数」「指名検索数の推移」「採用サイトへのアクセス増」など、間接的に計測できる指標を設定し、あらかじめ関係者間で合意しておくことが重要です。単発で結果を判断せず継続的に情報発信を行うことで、結果的に企業ブランドという大きな資産の形成にも役立ちます。
プレスリリースのよくある失敗例5選
プレスリリースの失敗は、送り手である企業の都合を優先し、受け手であるメディアの状況を想像できていないときに起こります。実務で頻発している5つの失敗例を確認しておきましょう。
失敗例1:宣伝色が強すぎてメディアに敬遠される
商品の特徴や強みを前面に出しすぎた結果、広告のような内容になり掲載されないプレスリリースです。
メディアは第三者視点の情報・客観的な事実を求めており、自社都合のアピールだけではニュースとして扱われません。「業界No.1」「高品質」など根拠の不明な表現は、信頼性が損なわれます。事実ベースの表現に言い換え、社会性や変化として伝える視点に切り替えることが必要です。
失敗例2:タイトルが曖昧でニュースの価値が伝わらない
「〇〇に関するお知らせ」など、中身を読まないと要点がわからないタイトルは、記者に読まれず埋もれてしまいます。
記者はタイトルを見る数秒で「読むか、流すか」を判断します。瞬時に価値が伝わらなければ、開封されない可能性もあります。タイトルは30文字前後で「誰が・何を・どうしたか」「何がどう新しいのか」がひと目でわかるよう要約することが重要です。
失敗例3:配信タイミングを誤り競合に埋もれる
配信のタイミングを意識せずにいると、同日に他社のプレスリリースが集中したり、大きなニュースと重なったりすることで、メディアの目に留まりにくくなる可能性があります。
特に、週末の未読メールが溜まっている月曜午前や、メディアが休日体制に入る金曜夕方など、情報が埋もれやすい時間帯は可能な限り避けましょう。競合状況やニューストレンド、メディアの動きを踏まえた配信スケジュールの設計が、掲載率を高めるうえで重要な要素のひとつです。
失敗例4:ターゲットメディアを意識せず一斉配信する
ターゲットが曖昧なままでは、誰にも響かない内容になり、結果的に掲載される可能性が低くなります。
媒体ごとに読者層と関心テーマが異なるため、汎用的な内容は価値が薄くなってしまうからです。例えば、BtoBの専門情報を一般メディア向けにそのまま配信すると、読者ニーズと合わず、十分に関心を持ってもらえないケースがあります。想定媒体を明確にし、それぞれの読者層に合わせて伝え方を調整しましょう。配信先を無造作に増やすよりも、媒体を絞り込み、個別の関心に合わせて提案するほうが記事化につながりやすい傾向にあります。
失敗例5:事実確認不足で訂正・修正が発生する
誤記や不正確な情報を記載すると信頼を損なうだけでなく、大変な修正・訂正作業が発生してしまいます。
プレスリリースは公式情報として扱われ、一度拡散すると修正が極めて困難です。数値ミス・表現の誤解・法務チェック漏れは実務でよくある失敗例です。複数人でのチェックと根拠の確認を徹底することで、未然にミスを防ぐプロセスを整えましょう。急いでいるときほど冷静に確認するプロセスを徹底してください。
その他の失敗例は、以下の解説記事も参考にしてください。
デメリット・失敗を防ぐための実践的な対策方法
前述した5つの失敗は、事前の準備と確認の仕組みを整えることで限りなく防ぎやすくなります。ここからは、配信前の原稿づくりから配信先の選定、効果測定まで、実務で取り入れやすい6つの対策方法を解説します。
主観的な宣伝文句を削り、客観的な「ニュースバリュー」を作る
自社の主張や宣伝文句を客観的な事実やデータに置き換え、社会的な背景と結びつけてプレスリリースの原稿を作成します。市場の変化やトレンドといった第三者視点を取り入れることで、情報の説得力が増すからです。
「業界トップクラス」といった根拠のない表現は避け、「〇〇省が発表した課題を背景に開発」「調査によると〇〇%が満足」など、客観的な事実やデータをもとに伝えましょう。調査データや具体的な数値に置き換えることで、記者が記事内で引用しやすくなり、メディアからの問い合わせにつながるケースもあります。
タイトル・リード文を改善する
プレスリリースのタイトルは、内容を要約した30文字前後に収め、成果や特徴を示す具体的な数値があれば必ず盛り込みましょう。
「新サービス開始のお知らせ」という曖昧な表現ではなく、「売上〇〇万円を達成した〇〇ツール、新機能を〇月〇日に提供開始」のように、ひと目で全体像がわかる表現に変えましょう。タイトルの工夫次第で、開封率は大きく変わります。
また、リード文では「なぜ今発表するのか」「誰にどんな影響があるのか」を簡潔に整理し、本文を読まなくても要点が伝わる構成を意識しましょう。
メディアの予定から逆算し、配信タイミングを最適化する
プレスリリースを書き上げたタイミングでそのまま配信するのではなく、他社の情報に埋もれない時間帯や、メディアが企画を立てやすい記念日や行事などの時期を狙うことも心掛けてください。
週明けの月曜午前や週末の金曜夕方は、情報が集中しすぎたり記者が不在だったりして、メールを確認してもらえる優先度が下がります。また一般的に、情報が集中しにくい火曜日から木曜日の10時〜15時が配信に適しているとされています。
曜日・時間・時期などの配信タイミングについては、こちらを参考にしてください。
ただし、メディアや担当記者によって確認のタイミングは異なります。
例えば、日経クロストレンド副編集長・高田さんからは、「16時に翌日公開の記事のラインアップを確定、公開日の2日前までに仕上げる部内ルール」というお話がありました。
Web担当者Forum編集長・四谷さんは、「1日のプレスリリースが出そろう16〜17時に毎日1回チェックしている」とのこと。過去の掲載実績や記者との関係性をもとに、自社に合った配信時間を見つけていくことが理想的です。
配信先のメディアを絞り込み、媒体ごとに切り口を変える
自社の情報と親和性の高い媒体を絞り、可能な限り媒体ごとに読者層に合わせて切り口を変えて、情報の見せ方を調整します。
一般消費者向けの雑誌と、企業向けの専門誌では、想定する読者層や関心テーマがまったく異なります。専門誌には「詳細な機能と導入コスト」を強調し、一般紙には「生活者がどう便利になるか」を中心に構成を書き分け、個別に案内してみましょう。
配信先を最大数に設定して一律の文章を送るよりも、自社に関係のある媒体を数十件に絞り、媒体に合った提案をしたほうが、掲載や取材につながりやすくなる傾向があります。
複数人で確認する「配信前チェックリスト」を必ず運用する
数値ミスや法務確認漏れといった致命的な事故は、事前チェックでほぼ防ぐことができます。事実確認だけでなく、俗人的な解釈や独りよがりな表現になっていないかという視点でのチェックも重要です。
担当者一人で配信ボタンを押す業務フローはやめて、最低2名以上で事実関係や数値を確認する仕組みを作ります。「価格・日時は正しいか」「著作権を侵害していないか」「リンク先は正しく開くか」など、確認すべき項目をリスト化し、上司や他部署の担当者と一緒に確認してから配信するようにしましょう。
チェック項目の例として、以下が挙げられます。
- 数値・固有名詞の正確性
- 出典の明記
- 誇張・誤解表現の有無
- 法務・コンプライアンス確認
- 日付・時系列の整合性
効果測定の仕組みを事前に設計する
掲載媒体数や広告換算数だけを追うのではなく、あらかじめKPIを設定したうえで配信するようにしましょう。記事化されるかどうかは記者や媒体側の判断に委ねられるため、自社でコントロールできない数値だけを追い続けると、成果が見えにくく担当者の負担につながってしまいます。
短期的には「PV数・転載数・SNS反応数」、中期的には「検索流入・指名検索数」、長期的には「問い合わせや商談件数」など、計測できる指標を段階的に設定し、毎月の目標として記録していきましょう。
また、「社内からの情報提供数」や「新規記者からの問い合わせ件数」「掲載記事の論調(肯定的・中立・否定的)」など、定性的な変化を把握できる指標を取り入れることも効果的です。数値だけでは見えにくい広報PR活動の変化を捉えることで、長期的なメディアリレーション構築にも役立ちます。
デメリットを理解したうえで成果につなげた事例
プレスリリースには「掲載が確約されない」「情報が埋もれやすい」などの難しさがあります。一方で、ニュースの切り口や伝え方を工夫することで、メディア掲載や共感獲得につなげている企業も少なくありません。ここからは、実際にデメリットや課題を踏まえながら成果につなげた事例を紹介します。
事例1.プレスリリースのタイトルから商品開発
商品が完成してからプレスリリースを書く「商品ありきの発信」を見直し、発想を逆転させた事例です。
先にメディアや生活者に刺さるプレスリリースのタイトルを設計し、そのタイトルをもとに商品企画を行うフローへと転換しました。「万人に合う」といった曖昧な宣伝文句を捨て、「うつぶせ寝をしたい方」など特定の悩みを抱えるたった一人に届くニッチなキーワードへ徹底的に絞り込んでいます。
結果として無数の情報に埋もれることなく、メディアの目に留まるニュース性の高い発信を実現しました。情報を届けたい相手の目線を企画段階から組み込むことが、広報PR活動の質を大きく引き上げた好例です。
事例2.社会課題視点を盛り込みニュース性を再設計
アドベンチャーワールドの人気者であったパンダの中国返還によって単なるお知らせでは情報が埋もれてしまう課題に直面し、ニュースの切り口を根本から再設計した事例です。
動物の赤ちゃんが誕生したといった事実だけを伝えるのではなく、「絶滅危惧種の保全」や「環境問題」といった社会課題を必ず盛り込んで情報を再構築しました。
一企業の出来事を世の中の課題と結びつけることで、メディアが報道すべきニュースとしての価値を創出しています。宣伝色を抑え、客観的な社会への問いかけを意識することが、多くの情報に埋もれず、生活者の共感を集めるポイントになっています。
事例3.調査データ活用による共感形成
直接的な効果測定が難しい広報PR活動において、調査データを起点としたストーリー設計により生活者からの共感を獲得した事例です。自社商品の優れた点を一方的に宣伝するのではなく、アンケート結果を客観的な事実として提示し、社会のニーズに自社がどう応えるかという文脈を構築しました。
事前の調査で「シンプルで上質な小さいくらしを送りたい」と回答した方が約85%にのぼる事実を明らかにしたうえで、小世帯向けの家電展開をプレスリリースで配信。社会背景を捉えた企業のメッセージとして、さまざまな切り口でメディア掲載や取材につなげています。
調査リリースを通じて生活者の声や社会課題を可視化することは、短期的な売上に依存せず、企業への信頼形成にも役立ちます。
まとめ:デメリットを正しく理解し、戦略的なプレスリリース配信に取り組もう
本記事では、プレスリリースのデメリットと言われがちな注意点や、よくある失敗例とその対策について紹介してきました。
プレスリリースには「内容の修正が難しい」「掲載が確約されない」といった側面が存在します。しかし、これらを正しく理解し、事前のチェック体制や客観的なニュースバリューの設計を行うことは、広報PR活動を成功させるための重要なステップです。
重要なのは、リスクを避けることではなく、起こりうる事態を想定しながら活用することです。まずは、自社の直近のプレスリリースを見直し、本記事で紹介したチェックポイントと照らし合わせてみてください。
継続的に改善を重ねることで、メディアや社会から信頼される情報発信につながっていきます。
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