「SNSを更新しているのに新しいお客さまが来ない」「良い商品があるのにどう知ってもらえばよいかわからない」と悩む個人店の担当者は少なくありません。集客につなげるには、発信量を増やすだけでなく、情報を届けたい相手や商圏に合う方法を選ぶことが大切です。
本記事では、お店が知られていない原因、オンライン・オフラインの11施策、実践の5ステップ、集客・来店につなげるコツ、効果の確認方法を解説します。
お店が知られていないのはなぜ?個人店によくある4つの原因
お店が知られていない原因は、情報発信の不足だけではありません。届ける相手や手段のずれ、店の特徴が伝わっていないこと、検索時に必要な情報が見つからないことも影響します。4つの原因から自店の状態を確認します。
原因1.お店から十分な情報を発信していない
商品やサービスが優れていても、情報が存在しなければ、生活者にお店を知ってもらうきっかけ自体が生まれません。営業時間や定休日といった基本情報の案内だけでなく、商品の特徴や店の取り組みなども、発信できる情報となります。
店主やスタッフにとっては日常の一場面でも、まだ店を知らない人にとっては、来店を検討するための新しい情報です。来店客が自然に増えるのを待つのではなく、店側から意図的に発信することが求められます。
原因2.情報を発信しても知ってほしい人に届いていない
情報を発信していても、来店してほしい人が利用する手段や実際の商圏と合っていなければ届きません。例えば、近隣住民の利用が中心の店が、地域を限定せずSNSだけで発信しても、来店できるエリアの人に届いているとは限らないでしょう。
反対に、遠方からの来店やオンライン購入を見込める商品では、店舗周辺へのチラシ配布だけでは伝えられる範囲が限られます。既存のお客さまの居住地域や来店のきっかけを確認し、知ってほしい人の情報収集行動に合う発信経路を選ぶことが必要です。
原因3.お店の強みや他店との違いを言語化できていない
素材や製法、技術へのこだわりを発信していても、それが利用者にとってどのような魅力なのかが伝わらなければ、店を選ぶ理由にはなりません。専門的な特徴を並べるだけでは、他店との違いも理解されにくくなります。
自店の強みを整理する手がかりとなるのが、例えば、既存のお客さまの来店理由、よく注文される商品、寄せられた感想などです。店側では当たり前だと思っている接客やサービスが評価されていることもあります。誰にどのような価値を提供する店なのか、初めて知る人にもわかる言葉にできているかを確認しましょう。
原因4.検索したときに必要な店舗情報が見つからない
SNSや口コミで店名を知っても、検索した際に必要な情報が見つからなければ、来店を判断できません。営業時間、所在地、商品・サービス、価格帯、予約方法が掲載されていない場合に加え、発信先によって情報が異なる状態にも注意が必要です。
臨時休業や営業時間の変更が反映されていなければ、どの情報が正しいのか判断しにくくなります。店を知るきっかけがあっても、その後に必要な情報を得られないことが、来店を妨げる原因になります。
お店を知ってもらう方法【オンライン編】
オンライン施策には、自店から継続して発信する方法と、検索サービスやメディアなどを通じて接点をつくる方法があります。商圏、予算、運用に使える時間、知らせたい内容を踏まえ、自店の課題に合うものを選びましょう。代表的な6つの方法を紹介します。

プレスリリース配信:メディア掲載やSNS拡散のきっかけをつくる
プレスリリースは、企業や店舗が新しい情報を報道関係者などへ伝える公式文書です。個人店には発信する情報がないと思われがちですが、新メニュー、周年、季節限定企画、地域企業との共同開発なども題材になります。
プレスリリースの配信はメディア掲載を保証するものではありませんが、報道関係者へ店や取り組みを知らせる機会になります。メディアの記事やSNSで紹介・共有されれば、自店の発信だけでは接点を持ちにくい人にも店を知ってもらえます。新しい取り組みを店外へ伝える代表的な方法です。
Googleビジネスプロフィール:「地域名×業種」の検索で見つけてもらう
Googleビジネスプロフィールを整えて、Google検索やGoogleマップで店を探している人に、店舗情報を見つけてもらう方法です。「エリア名+カフェ」「近くの美容室」のように地域名と業種を組み合わせた検索や、現在地周辺での検索から店を知ってもらうことができます。
住所、営業時間、電話番号、Webサイト、写真、商品・サービスなどを登録し、実際の営業状況と一致させます。祝日や臨時休業の情報も更新しましょう。費用をかけずに始められ、地域名や業種で店を探している人と直接接点をつくれる点が強みです。
SNS運用:写真や動画でお店の雰囲気と最新情報を届ける
SNSでは、商品、店内の雰囲気、スタッフの人柄、営業に関する最新情報を写真や動画で伝えられます。飲食店の料理や調理風景、小売店の入荷情報など、文章だけでは伝わりにくい特徴の発信や最新情報を継続的に届ける運用に向いています。
フォロワーとの関係構築や既存客のリピート促進に役立つ一方、アルゴリズムの影響を受けるため、新規層への安定した到達には工夫が求められます。SNSは既存のお客さまとの関係を育てる場として活用し、新規層への認知拡大はプレスリリースや検索など別の経路と組み合わせることで、それぞれの発信の役割を整理できます。
公式Webサイト・ブログ:詳しい情報をまとめて信頼につなげる
公式Webサイトは、店の特徴、商品・サービス、価格、営業時間、アクセス、予約方法などをまとめられる情報の受け皿です。SNSやGoogle検索、メディアの記事などで店を知った人が、来店前に詳しい内容を確認できます。
ブログでは、商品開発の背景、素材の選び方、店主の専門知識など、SNSの短い投稿では伝えきれない内容も掲載できます。情報が時系列で流れるSNSとは異なり、必要な情報を整理して蓄積し、継続的に提示できる点が強みです。ただし、古い情報が残らないよう、更新できる範囲を決めて運用することが必要です。
グルメサイト・ポータルサイト:比較検討中の人に情報を届ける
グルメサイトや業種別のポータルサイトは、地域、価格、利用目的などの条件から店を比較している人との接点になります。行きたい店が決まっていない人にも情報を見てもらえるため、飲食店をはじめ、美容室やサロンなど幅広い業種で活用されています。
掲載先を選ぶ際は、知ってほしい人が利用しているか、自店の商圏に対応しているか、必要な予約機能があるかを確認します。掲載料金だけでなく、期待する役割や運用負担も含めて判断しましょう。
Web広告(リスティング・SNS広告):地域や関心を絞って情報を届ける
Web広告は、地域、検索語、興味・関心などの条件を設定して情報を配信する方法です。新規開店、期間限定イベント、新商品など、知らせたい内容、期間、促したい行動が明確な場合に検討しやすいでしょう。
広告を出す前に、店舗情報、商品ページ、予約先など、配信後の案内先を整えます。表示回数を増やすこと自体を目的にせず、商圏や利用目的に合う条件を設定し、予算の範囲内で実施できるかを判断します。
お店を知ってもらう方法【オフライン編】
徒歩圏や近隣地域からの来店が中心となる個人店では、地域で直接店の存在を知らせる方法も有効です。チラシや店頭で知るきっかけをつくり、WebサイトやSNSで詳しい情報を補うなど、オンライン施策と役割を分けて組み合わせます。
チラシ配り・ポスティング:商圏内の近隣住民へ直接情報を届ける
チラシ配りやポスティングは、店舗周辺や来店を見込める地域を指定し、近隣住民へ情報を届ける方法です。開店、新商品、キャンペーンなど、知らせる内容と時期が明確な場合に活用しやすく、SNSを利用していない人にも届けられます。
チラシには、店の特徴、所在地、営業時間、価格、問い合わせ先など、来店に必要な情報を掲載します。WebサイトやSNS、予約ページへ移動できる二次元コードを加えれば、紙面に収まらない情報を補えます。配布地域は実際の商圏に合わせて絞りましょう。
看板・のぼり・店頭ボード:通行人にお店の特徴を伝える
看板やのぼり、店頭に置くボードは、店舗の前を通る人に何を提供している店なのかを視覚的に伝えるツールです。外から中の様子が見えにくい店舗では、通行人が入店するための判断に役立ちます。
主な商品・サービス、おすすめメニュー、価格帯、営業状況など、その場で知りたい情報を優先して掲示し、短時間でも読み取れるよう、内容を詰め込みすぎないことが大切です。季節商品などを掲載する場合は、終了後に古い情報が残らないよう更新します。
地域イベント・マルシェ出店:対面でお店を知ってもらう
地域イベントやマルシェへの出店は、実店舗を訪れたことがない人に、商品や接客を直接体験してもらう機会です。商品を手に取る、試食する、店主から説明を聞くなど、通常の発信だけでは伝えにくい店の特徴も届けられます。
出店先を選ぶ基準は、来場者数だけではありません。参加者と自店の顧客層、店舗からの距離、イベントのテーマとの相性も確認が必要です。当日は所在地や営業時間を記載したショップカードを用意し、イベント後の検索や来店へつなげます。
口コミ・紹介の仕組み化:既存のお客さまから情報を広げる
既存のお客さまからの口コミや紹介は、店舗が直接接点を持ちにくい家族や知人へ、店を知ってもらうきっかけになります。ただし、紹介を強く求めるのではなく、店の情報を自然に共有できる環境を整えることが基本です。
店名、特徴、所在地、Webサイトなどをまとめたショップカードを用意するほか、贈答用の商品に店の説明を同封する方法もあります。SNSへの投稿や口コミを依頼する場合も、お客さま自身の言葉で感想を書ける形にします。
近隣店舗・地域企業との連携:互いのお客さまとの接点を広げる
近隣店舗や地域企業との連携は、自店だけでは接点を持ちにくい人へ情報を届ける方法のひとつです。ショップカードの相互設置、共同商品の開発、複数店舗を巡る企画、地域企業への案内など、取り組み方はさまざまです。
連携先を選ぶ基準は、店舗同士の近さだけではありません。顧客層や商品、利用場面、地域課題などに共通点があるかを見極めます。一方だけに作業や費用が偏らないよう、双方の役割と利点の事前確認も欠かせません。共同企画に地域性やニュース性があれば、プレスリリースの題材にもなります。
SNSを頑張っているのに知ってもらえないのはなぜ?
SNSを継続して更新していても、新しい人に店を知ってもらえるとは限りません。フォロワーが既存のお客さまに偏っている場合、情報が届く範囲も既存層に寄りやすくなります。また、SNSはアルゴリズムの影響を受けるため、同じアカウントから投稿しても毎回同じ人数やユーザーに安定して届くわけではありません。
さらに、写真や動画の準備、文章作成、投稿、コメントや問い合わせへの対応など、継続的な運用には一定の負担がかかります。更新頻度を上げることだけに注力すると、通常業務を圧迫する可能性もあります。
一方で、SNSは店の雰囲気や最新情報を継続的に伝え、すでに店を知っている人との関係を育てるのに適した手段です。新商品や営業情報を届けたり、来店後も接点を持ったりすることで、再来店や想起につなげられます。
そのため、SNSだけで認知拡大を担おうとせず、役割を分けて考えることが大切です。SNSは既存のお客さまとの関係を育てる場として活用し、新しい人に知ってもらうためには、メディア掲載、プレスリリース、口コミなど第三者を経由して情報が広がる方法と組み合わせましょう。
お店を知ってもらうための実践5ステップ
施策を無計画に増やしても、効果的な発信につながりません。お店を知ってもらうために押さえておきたいポイントを5つのステップに分けて解説します。

STEP1.知ってもらいたい相手と商圏を明確にする
最初に、どのような人に来店してほしいのか、どの地域からの来店を見込むのかを明確にします。年齢や性別だけでなく、利用目的、来店する時間帯、店を選ぶときに重視することまで具体化すると、発信内容を考えやすくなります。
既存のお客さまの居住地域、来店理由、利用頻度なども判断材料です。店舗の立地や交通手段、商品の価格帯も踏まえ、徒歩圏を中心とするのか、電車や車で訪れる人まで含めるのかを決めます。知ってほしい相手と商圏が定まれば、SNSで継続的に情報を届けるのか、地域検索で見つけてもらうのか、チラシで近隣住民へ知らせるのかなど、発信手段と使い方を判断しやすくなります。
STEP2.お店の強みと他店との違いを言語化する
知ってほしい相手にとって、自店を選ぶ理由となる特徴を整理します。素材や製法へのこだわりを並べるだけでなく、それによって顧客がどのような商品やサービスを得られるのかまで言葉にすることが必要です。
店主やスタッフだけで考えると、店側が伝えたい内容に偏ることがあります。お客さまからよく聞かれること、評価されている商品、来店理由なども振り返りましょう。誰に何を提供できる店なのかを簡潔にまとめることで、SNS、チラシ、公式Webサイト、プレスリリースで一貫して伝える軸ができます。
STEP3.Googleビジネスプロフィールや公式Webサイトなどの情報を整える
情報を発信する前に、店を知った人が詳しい内容を確認できる受け皿を整えます。Googleビジネスプロフィール、公式Webサイト、SNSなどに、営業時間、所在地、商品・サービス、価格、問い合わせ先、予約方法を掲載します。
発信先によって営業時間や価格が異なっていると、どの情報が正しいのか判断できません。古い情報が残っていないか、掲載内容が一致しているかを確認してください。スマートフォンで自店を検索し、店舗情報の確認から予約や問い合わせまで迷わず進めるかを点検すると、初めて訪れる人がつまずく箇所を見つけやすくなります。
STEP4.プレスリリースやSNSなどで意図的に情報を発信する
受け皿を整えたら、前のステップで整理した店の特徴や新しい取り組みを発信します。SNSでは商品の写真や店内の様子、最新情報を継続して伝えられます。一方、プレスリリースは、店の新しい情報を報道関係者などへ知らせる方法です。
同じ内容でも、発信先によって必要な情報や見せ方は異なります。SNSでは画像や動画を活用し、プレスリリースでは取り組みの背景や地域性などを事実に基づいて説明します。自店からの継続的な発信と、報道関係者への情報提供を目的に応じて組み合わせましょう。
STEP5.反応を確認して発信内容や見せ方を改善する
発信後は、情報が届いたか、予約や来店のきっかけになったかを施策ごとに振り返ります。一度の結果だけで良し悪しを決めず、一定期間ごとの変化を比べることが大切です。
反応のよかった題材や発信先は継続し、伝わりにくかった内容は写真、見出し、案内先などを見直します。結果を次の発信へ反映しながら、自店に合う方法を絞り込みます。
「知ってもらう」を集客・来店につなげる3つのコツ
お店の存在を知ってもらうだけでは、予約や来店には直結しません。必要な店舗情報と次の行動へ進む導線を整え、どの接点でも同じ特徴を持つ店だと伝わる状態を保つことが大切です。来店へのきっかけを継続的につくり、認知から利用へつなげるコツを確認します。

1.予約・注文・来店へ進める導線をわかりやすくする
興味を持った人が、必要な情報を探し回らずに、すぐに予約や注文へ進める状態を整えます。SNSやメディアの記事、チラシなどから、公式Webサイト、地図、予約フォーム、電話番号へ迷わず移動できる経路を用意しましょう。
SNSのプロフィールに予約ページへのリンクがあるか、チラシの二次元コードが正しく読み取れるか、検索結果に最新の店舗情報が表示されるかも確認します。お店が掲載された場所から予約や来店までの流れを実際にたどると、情報が途切れている箇所を見つけやすくなります。
2.どの接点でもお店の特徴や見せ方をそろえる
店頭看板、SNS、チラシ、公式Webサイト、プレスリリースで伝える内容が食い違うと、どのような店なのか理解されにくくなります。店の強み、主な商品・サービス、価格帯など、来店判断に関わる情報をそろえておきます。
すべての発信先に同じ文章や写真を載せる必要はありません。SNSでは店内の雰囲気を写真や動画で見せ、公式Webサイトでは商品やサービスを詳しく説明するなど、それぞれの役割に合わせて表現を変えられます。異なる場所で店を見た人にも、一貫した特徴や魅力が伝わることが基準です。
3.発信の機会をつくり継続的に接点を持つ
開店時の告知だけでは、その時点で利用予定がない人に店の存在を覚えてもらうのは難しいものです。新商品や店の取り組みは、あらためて関心を持ち、来店を考えるきっかけになります。
発信の題材は、特別な企画に限りません。商品の仕入れや製造風景、スタッフの取り組みなど、日々の営業からも見つけられます。無理のない頻度で情報を届け、一度店を知った人に思い出してもらう機会をつくりましょう。
お店を知ってもらえているかを確認する方法
施策の実施後は、情報がどの程度見られ、何が来店のきっかけになったのかを振り返ります。GoogleビジネスプロフィールやSNSの数値、お客さまへの聞き取りが、施策を続けるか見直すかの判断材料です。
Googleビジネスプロフィールの閲覧数・検索語句・ルート検索数を確認する
Googleビジネスプロフィールでは、Google検索やGoogleマップでプロフィールを見たユーザー数、店の発見に使われた検索語句、ルートを検索した人数などを確認できます。業種などによって、表示される指標は異なります。
数値は一時点だけで判断せず、発信や店舗情報の更新前後など、期間を区切って推移を比べます。検索語句は、どのような言葉で店が探されているかを知る手がかりです。閲覧数やルート検索数とあわせて、店舗情報や写真、営業案内を見直す際の判断材料にします。
SNSのリーチ数・プロフィール閲覧数を確認する
SNSでは、いいね数だけでなく、投稿が表示された人数を示すリーチ数や、プロフィール閲覧数にも目を向けます。利用できる項目や名称はSNSによって異なるため、各サービスで確認できる数値を使います。
投稿ごとのリーチ数、保存数、プロフィールへのアクセス数などを比べると、商品写真、店内の様子、スタッフの紹介といった内容のうち、関心を持たれやすい投稿の傾向が見えてきます。反応のよかった発信テーマや見せ方は、次回の投稿へ反映させましょう。
来店したお客さまにお店を知ったきっかけを聞く
数値だけでは、実際に来店した人がどの施策をきっかけに店を知ったのかまでは把握できません。予約時や会計時に、SNS、検索、口コミ、チラシ、メディアの記事など、最初に店を知った場所を尋ねます。
口頭で聞いた内容は、日付と回答を簡単に記録しておきます。回答を集めにくい場合は、選択式のアンケートを用意する方法もあります。一定期間ごとに結果を振り返り、来店したお客さまが店を知った経路を把握することで、今後注力する施策を選びやすくなります。
お店を知ってもらう取り組みでよくある失敗パターン
施策を実行すること自体に意識が向き、情報を受け取る人の視点や、問い合わせ・来店を受け入れる準備が抜け落ちることがあります。よくある3つの失敗と、その原因や防ぎ方を解説します。
失敗パターン1.多くの人に届けようとして情報を詰め込みすぎる
商品、価格、店主の思い、キャンペーンなどを一度の発信に盛り込むと、何が特徴の店なのか把握しにくくなります。幅広い人へ同時に届けようとした結果、誰のどのような要望に応える店なのかが曖昧になるためです。
発信する際は、誰に何を知ってほしいのかを決め、ひとつの投稿やチラシで扱う内容を絞ります。例えば、近隣で働く人にランチ利用を案内するなら、提供時間、メニュー、価格など、来店判断に必要な情報を優先します。そのほかの情報は公式Webサイトや別の投稿で補い、店を選ぶ理由が伝わる内容にしましょう。
失敗パターン2.継続できない発信計画を立てる
SNSを毎日更新する、複数の施策を同時に始めるなど、店の人員や業務量に合わない計画は、通常業務を圧迫します。撮影、原稿作成、確認、投稿、問い合わせ対応まで含めた作業量を見込んでいないことが、中断を招く主な要因です。
計画を立てる際は、担当者、更新頻度、扱う題材をあらかじめ決めておき、発信のたびに内容を一から考えずに済むよう、題材も事前にリスト化しておきます。忙しい時期でも続けられる頻度を基準とし、店舗運営と両立できる範囲から始めるのが現実的です。
失敗パターン3.発信後に店舗情報や予約方法を確認していない
SNSやプレスリリースで店を知った人が検索しても、営業時間、所在地、メニュー、予約方法などが古ければ、来店できるか判断できません。情報を届けることに意識が向き、その後の問い合わせや予約を受ける準備まで確認していない場合に起こります。
発信前後には、Googleビジネスプロフィール、公式Webサイト、SNSなどの情報が最新で、内容も一致しているかを点検します。あわせて、予約フォームの動作や問い合わせの受付手順を確かめ、担当するスタッフにも共有しておきます。発信後に予約や来店を受けられる状態まで整えることが、施策を実行する前提です。
プレスリリースでお店を知ってもらった個人店の成功事例
個人店が、店や商品の特徴をプレスリリースで発信し、新しい顧客や販路との接点をつくった事例を紹介します。それぞれが抱えていた課題、取り組み、成果を順に見ていきましょう。
事例1.喫茶室 山脈|店舗の雰囲気と看板商品を一貫して発信し、遠方客との接点を広げる
岐阜県各務原市の喫茶室 山脈は、喫茶店が多い東海地区で他店との違いを伝え、遠方からも訪れたくなる店を目指していました。そこで、築100年の古民家を改装した店内と、岐阜県産栗のモンブランを組み合わせ、オープン前からInstagramで発信。プレスリリースでは、新商品や限定商品を継続的に伝えています。
Instagramのフォロワーは約500人から約17,000人へ増加しました。InstagramやPR TIMESでの発信をきっかけに、JR東海と東海テレビがそれぞれ運営するECサイトでの商品取り扱いも実現。店舗の雰囲気と看板商品を一貫して見せながら、継続的に新しい情報を発信することで、店ならではの世界観を築いた事例です。
事例2.七越製菓|商品の歴史を発信し、新しい来店のきっかけをつくる
七越製菓は、原材料価格の高騰や米不足という課題を抱える中、創業40周年と看板商品である「手揚げもち」の発売25周年を迎えました。節目に合わせて「復刻版手揚げもちしょうゆ味」を発売し、創業時のモノクロ写真や職人の姿を収めた動画をプレスリリースに掲載。会社と商品の歩みをひとつの情報として伝えました。
プレスリリースは、プレスリリースアワード2024のストーリー賞を受賞。復刻版を目当てに、それまで店舗を利用したことがなかった人の来店も増えました。新商品だけでなく、店や商品の歴史、受け継いできた製法を掛け合わせて発信することで、新商品のないタイミングでも来店のきっかけをつくれることがわかります。
事例3.お亀堂|地域企業との商品開発を話題にして新しい客層へ届ける
愛知県豊橋市で70年以上続くお亀堂は、以前は年配のお客さまが中心で、店や和菓子を知らない人へ情報を届けることを課題としていました。同店は地域企業との共同開発や地域食材を使った商品づくりに取り組み、その背景や商品の特徴をプレスリリースとSNSで発信しています。
豊橋発祥のブラックサンダーと組み合わせた「ブラックサンダーあん巻き」では、若い世代や男性客が増加しました。規格外のサツマイモを使った鬼まんじゅうも地元メディアに取り上げられています。地域企業や生産者との連携を商品開発だけで終わらせず、地域性や社会的な背景とともに伝えることで、新しい顧客層との接点を広げています。
まとめ:自店に合う方法を選び継続的にお店の情報を届けよう
お店を知ってもらうには、情報を発信するだけでなく、誰に何を届けるのかを明確にし、興味を持った人が来店を判断できる店舗情報や導線を整える必要があります。SNS、Googleビジネスプロフィール、プレスリリース、地域での活動は、それぞれ届きやすい相手や役割が異なります。
お店を知ってもらうためには、次のポイントを押さえましょう。
- 来店してほしい相手と商圏を明確にする
- お店の強みや他店との違いを言語化する
- Googleビジネスプロフィールや公式Webサイトなどの店舗情報を整える
- 目的に応じてオンライン・オフラインの施策を組み合わせる
- 反応を確認しながら、発信内容や見せ方を改善する
施策を増やすことだけを目的にせず、知ってもらうための発信と、予約や来店につながる導線をあわせて整えることが重要です。自店の商圏と運用体制を踏まえ、無理なく続けられる方法を選ぶことが、認知を来店へとつなげる第一歩です。
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