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鳥取のソウルドリンク「白バラ牛乳」。地域に根づくブランドを育む広報PR|大山乳業農業協同組合

鳥取のソウルドリンク「白バラ牛乳」。地域に根づくブランドを育む広報PR|大山乳業農業協同組合

鳥取県の学校給食や家庭の食卓を通じ、世代を超えて親しまれてきた「白バラ牛乳」。県民の「ソウルドリンク」とも呼ばれるこの牛乳を製造・販売しているのが、大山乳業農業協同組合です。県内すべての酪農家が組合員となる全国でも珍しい酪農専門農協で、生乳の生産から製造、販売までをひとつの組織で担っています。

近年は、人口減少による購買・消費の減少を受けて、県外や海外への販路拡大にも注力。商品情報だけでなく、開発者や酪農家の思い、品質へのこだわりまで届ける広報PR活動は、地域に根づくブランドが全国・世界へと届くための橋渡しとなっています。

本記事では、同組合の広報PRを担う総合企画課の乾さんにインタビュー。部署を横断した情報収集の仕組みや、全国向けと地域向けの発信の使い分け、白バラブランドを次の世代へつなぐための取り組みについてお話を伺いました。

大山乳業農業協同組合(鳥取県東伯郡):最新プレスリリースはこちら

乾 裕一のプロフィール画像

大山乳業農業協同組合 総合企画室 総合企画課

乾 裕一(Inui Yuichi)

美作大学食物学科管理栄養士養成課程を修了後、2018年に大山乳業農業協同組合へ入組。入組後は牛乳の製造業務に携わり、2019年より京都営業所へ異動。2022年大阪営業所へ異動。2026年より総合企画室総合企画課で広報を担当。白バラ製品の魅力はもちろん、酪農家の思いや製品づくりの背景まで、伝わる発信を大切にしている。生産者と生活者、双方の視点に寄り添った広報を目指す。

部署横断の連携で大山乳業の魅力を発信

──本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、大山乳業農業協同組合の広報PR体制について教えていただけますでしょうか。

はい、よろしくお願いします。

大山乳業の広報PRは、総合企画室の中にある総合企画課が担っています。総合企画課には私を含めて10名が所属しており、私は主に地元メディアへのプレスリリース配信や取材対応、メディア出演などの窓口業務を担当。そのほかに広報担当はSNSの運用担当が2名と、全体を取りまとめるリーダーが1名という体制です。

総合企画課では広報PR活動に加えて、大山乳業の経営企画に関わる業務、大きなプロジェクトの方向性などを考え、推進する役割も担っています。例えば、大山乳業が運営している観光施設「大山まきばみるくの里」は今年4月にリニューアルしましたが、そのプロジェクトの企画と広報PRも総合企画課が担当しました。

──2024年頃から広報PR活動を積極的にされていると感じたのですが、力を入れようと思った背景を教えてください。

これまでも地元テレビ局でのCM放映など、地元に向けた広報PRには取り組んできました。一方で、「酪農家から届く生乳を余すことなく生活者に届ける」ためには地元だけでは限りがある、と難しさを感じていました。せっかく搾った生乳を廃棄することになっては本末転倒です。鳥取県以外での販売にも注力しなければいけないと思ったのが出発点ですね。

プレスリリースやSNSで積極的に情報発信を行うことで、全国の人に商品を知ってもらい、届ける。そこを目指して広報PR活動に力を入れはじめました。

──乾さんは、総合企画課に配属される以前は営業を担当されていたそうですね。広報PRの担当になって、いかがでしたか。

そうなんです。今年の春に総合企画課に配属されたばかりで、それ以前は大阪を中心に関西で7年ほど営業をしていました。営業職時代も大山乳業の商品をお客さまにおすすめして購入していただくことが仕事だったので、「商品の魅力を伝える」という点では、広報PRにも共通する部分があると感じています。

今年は、「大山まきばみるくの里」を中心に多くの取材依頼をいただいていますが、当初戸惑っていたメディア対応にも少しずつ慣れてきました。テレビだけでなく、旅行雑誌などにも取材していただき、自分が話した内容が実際の記事や番組になり、それを見て「みるくの里に来ました」とおっしゃるお客さまに出会えると、とてもやりがいを感じますね。

──営業で培った「商品の魅力を伝える力」が、活かされているのですね。大山乳業では、乾さんのように異動するケースは多いのでしょうか。

ひとつの部署で専門性を高める人もいますが、大山乳業の総合職採用の職員は複数の部署を経験するケースが多いと思います。背景としては、職員のキャリアアップにつなげることはもちろん、組織全体の力を高めていくことも目的のひとつです。

組織運営の面からも、特定の人にしかわからない業務が増えすぎることは好ましくありません。販売・広報・製造・酪農家のサポートなど、組合内のさまざまな業務を経験し、幅広い知識と経験を持つ職員を増やしていくことが、組織全体の底力につながると考えています。

現在は広報として、販売を担当する部門とは、週に1回の定例ミーティングを行い、今後発売する商品や取り組みについて情報を共有して連携しているんです。

大山まきばみるくの里

世代を超えて地域に愛される白バラブランド

──大山乳業の「白バラ牛乳」は、「鳥取県のソウルドリンク」とも呼ばれ親しまれていますよね。ブランドとして長く愛されている要因をどのように考えていらっしゃいますか。

鳥取県すべての小中学校に「白バラ牛乳」を供給し続けてきた歴史が、その土台にあります。また瓶牛乳の家庭宅配に力を入れてきたことで、「少し価格は高いけれどおいしくて品質のよい牛乳」というイメージを持っていただいていると思います。幼い頃から学校や家庭で飲んでいた牛乳を、現在は親や祖父母の世代になっても選んでくださっている方も少なくありません。県民のみなさんが長年にわたって共通して親しんできた存在だからこそ、ソウルドリンクと呼ばれるブランドに育ったのだと思います。

──大山乳業さんのように生産から販売まで一貫して担っていらっしゃるのは、とても珍しいケースだそうですね。

そうですね。全国的には、生乳生産と製造・販売がわかれているケースがほとんどです。酪農家は酪農家で団体をつくって、搾った生乳を乳業メーカーに売る。乳業メーカーはその生乳をもとに、自社工場で牛乳をはじめとするさまざまな商品を製造・販売する、というのが一般的です。

大山乳業では鳥取県のすべての酪農家が大山乳業の組合員になり、生産から工場での製造・販売までをひとつの組織の中で行っています。

──生産から販売まで一貫することで、どのようなメリットや強みとなるのでしょうか。

一番の強みは、生産者の顔が見えることに加えて、生産者にとっても「生活者の顔が見える」ことだと思います。

生産者団体と乳業メーカーが分かれている場合、酪農家が出荷した生乳は工場に集められ、さまざまな商品へと加工されます。そのため、自分たちが搾った生乳が、最終的にどの商品になり、どこで販売されているのかまではわからないことが多いんです。

その点、大山乳業では基本的にすべて組合内で商品化しているため、酪農家のみなさんも、自分たちの生乳がどの商品になり、どこで販売されているのかを知ることができます。また、酪農家自身が取引先の店頭に立ち、生活者のみなさんと直接お話ししながら商品をおすすめするなど、生産者と生活者が交流する機会も設けているんです。実際に商品を購入してくださる方の顔を見て、声を直接聞けることが、より良い生乳をつくろうという思いを育てているのだと思います。

もちろん私たち職員にとっても、生産者と生活者の双方の思いに触れることで、白バラというブランドをしっかり育てていかなければならないという意欲につながっています。

──酪農家の方の声は、商品開発やブランド展開にも反映されるのでしょうか。

はい。すべての商品開発やブランド展開に直接関わるわけではありませんが、組合員である酪農家の声が組合の運営や商品、ブランドの方向性に反映される体制になっています。

大山乳業はもともと鳥取県の酪農家がつくった組織で、酪農家のみなさんは一般企業でいう株主に近い立場にあります。大山乳業の運営や方向性について、意見を直接伝えていただくこともあるんです。実際に、年1回開催する総会では、大山乳業の大きな方針や議案について、組合員である酪農家のみなさんが議決しますし、私たちもいただくご意見から、組織やブランドの方向性を考えています。

酪農家と大山乳業職員

商品紹介だけでなく開発者と酪農家の思いを発信

──プレスリリースを担当されているとのことですが、広報PR担当になって間もない頃は、書くことに苦労されたのではないでしょうか。

そうですね。私たちの発信をきっかけにメディアの方に取材していただくことを考えると、プレスリリースはその起点となるものです。単なる商品紹介ではなく、メディアの方が「取材したい」と思う内容にする必要があるため、どのような情報を盛り込めばよいのかイメージできず、最初の頃は苦戦しました。

少し慣れてきてからは、実際に取材へ来てくださったメディアの方に、「こういう情報があると取材しやすい」「こういう切り口なら取材したくなる」といったアドバイスをいただきながら、内容を改善していきました。

──プレスリリースを作成する際に大切にしていることや、全国と地元メディア向けで発信を使い分けていることがあれば教えてください。

ただ「新商品を発売しました」と伝えるだけでなく、なぜその商品をつくったのか、どのような製法やこだわりがあるのか、開発者や酪農家の思いまで伝えることを大切にしています。商品の背景までわかりやすく発信することで、メディアの方や生活者のみなさんに、より深く興味を持っていただきたいと取り組んでいるんです。

また、プレスリリースは目的に応じて全国向けと地元メディア向けを使い分けています。例えば、全国に向けた発信にはPR TIMESを利用して、メディアに取り上げていただくことだけでなく、SNSなどでの拡散をきっかけに生活者へ直接届くことも期待しています。一方、地元メディアに対しては、地域との関わりが深い情報を中心に、個別にプレスリリースをお送りしていますね。

──週に1回の定例ミーティングを行い、情報をキャッチアップされているとのことでしたが、他部署との連携から生まれたニュースで印象深かったものはありますか。

今年5月に配信した「みえるらべる」のプレスリリースはそのひとつです。「みえるらべる」は、温室効果ガス削減への取り組みを生活者にもわかりやすく「星の数」で表示するという農林水産省の取り組みで、大山乳業は『国産飼料自給による輸送由来CO2削減』が高く評価され、星2つを獲得しました。

組合内ではもともとメディアへの発信を想定しておらず、白バラ牛乳にラベルを貼って発売、取引先への紹介を地道に行っていくつもりでした。しかし、担当者に詳しく話を聞いたところ、もっと大々的に広報PRしたほうがいい内容だと思ったのです。

実際、プレスリリースを配信したところ、環境への取り組みという文脈で地元紙の取材につながっています。

「白バラ牛乳」を『選ぶ理由のある牛乳』へ

参考:「白バラ牛乳」を『選ぶ理由のある牛乳』へ

|選ぶ理由のある牛乳のプレスリリースのポイント

組合内では発信しないつもりだった情報を広報PRの視点で拾い上げ、ニュースとして再設計し、メディア掲載につながったという事例。ただラベルを表示するだけでは伝わりづらい価値を「なぜ星を獲得できたのか」「鳥取県全酪農家が組合員だからこそできる取り組み」という文脈に結びつけることで、「地域×環境×ブランド価値」を同時に伝える発信へと変わっています。特に参考にしたいのは、組合社の取り組みを「社会課題(環境・地域農地の保全)との接点」で捉え直す視点です。自社の日常的な活動の中に、社会性のある切り口が潜んでいないか、自社で眠ったニュースはないか。振り返ってみたくなったのではないでしょうか。(PR TIMES 取材担当者より)

地域で育った白バラブランドを全国、そして海外へ

──長く愛されているブランドとは言えど、やはり消費の伸び悩みを感じていますか。感じている場合、どう打開しようとされているのでしょうか。

そうですね。日本では、人口減少を背景に牛乳の消費量がここ10年ほど横ばいからやや減少する傾向にあります。もっと長いスパンで見ると、さらに落ち込んでいます。また、飼料の高騰などを受けて販売価格を上げると、消費が落ち込んでしまうという課題は、どの業界でも同じでしょう。

これに対しては、やはり新規開拓をしていくしかありません。

──販路拡大に向けて、どのような取り組みを進めていますか。

県外だけでなく海外への輸出にも力を入れています。なかでも今後強化していきたいのが、アイスクリームの販売です。現在、従来の約3倍の生産能力を持つ新しい工場を建設しており、国内外のより広い地域へ商品を届けられる体制を整えています。

大山乳業では、すでに韓国や香港、マレーシア、オーストラリアなどにアイスクリームを輸出していますが、今後は牛乳の包材や殺菌方法を工夫して賞味期限を延ばし、牛乳を海外へ届けることを強化したいと考えています。特に、常温で長期間保存できる牛乳が一般的な国では、冷蔵で届ける鮮度の高い牛乳に一定の需要があるため、今後もアジア圏を中心に、販売先を広げていきたいですね。

国内での販路拡大についても、課題になるのはやはり賞味期限です。現在の商品をより遠くまで届けようとしても、東日本や九州など、距離が離れるほど販売できる期間が短くなってしまうため、品質を保ちながら賞味期限を延ばす方法について、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

──たくさんのお話をありがとうございます。最後に、これから取り組んでいきたいことや、思い描いていることをお伺いできますか。

大山乳業は今年創立80周年を迎えましたが、この先90年、100年と続く組織になるためには、新しいことに挑戦するだけでなく、これまで大切にしてきた考え方や思いを受け継いでいくことも欠かせません。

酪農家のみなさんや工場で働く従業員、商品を選んでくださる生活者の方々がいて成り立つ組織だからこそ、酪農家のみなさんが安心して酪農を続けられること、職員が自分の仕事に誇りを持てること、生活者の方に「白バラが好き」と感じていただけること。それぞれの立場の人が前向きな気持ちになれる組織を目指していくことが大切だと考えます。

だからこそ、広報PRとしては、白バラブランドの魅力だけでなく酪農家の思いや品質へのこだわり、地域とのつながりを繰り返し伝えていきたいです。生産者と生活者をつなぐ橋渡し役として発信を積み重ね、ブランドへの理解や信頼を深めていけたらと思います。

また、今は比較的上の世代のお客さまが中心なので、これからは若い世代にも白バラを身近に感じてもらえるような情報発信に力を入れていきたいですね。

大山乳業農業協同組合さま 香港試飲

まとめ:生産者と生活者をつなぎ、白バラブランドを次の100年へ

鳥取県の酪農家が組合員となり、生乳の生産から製造・販売までを一貫して担う大山乳業農業協同組合。乾さんのインタビューを通して見えてきたのは、学校給食や家庭宅配を通じて地域に根づいてきた白バラブランドを、生産者と生活者の思いをつなぎながら育て続けている広報PRの姿でした。

社内のさまざまな部署と連携して情報を集め、商品そのものだけでなく、開発者や酪農家の思いまで丁寧に発信。全国向けと地域向けで情報の届け方を変え、SNSやグッズも活用しながら幅広い層へと接点を広げています。また、社内に埋もれている取り組みを広報PRの視点で拾い上げ、生活者に届くニュースへと変えていくことも、白バラブランドへの理解と信頼につながっているといえるでしょう。

創立80周年を迎えた同組合が見据えるのは、90年、100年と愛されるブランドであること。酪農家が安心して生産を続けられ、職員が仕事に誇りを持ち、生活者が「白バラが好き」と思える関係を目指す。地域の味を守り、届け続けるために広報PRができることを問い続ける大山乳業の姿勢は、地域ブランドを持つすべての企業にとって、参考になるはずです。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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