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ファン作りとは?企業を支える熱量の高い顧客を生み出す方法と実践ステップ

ファン作りとは?企業を支える熱量の高い顧客を生み出す方法と実践ステップ
この記事でわかること
ファン作りとは、企業やブランドに共感し、継続的に支持・応援してくれる顧客との関係を築く取り組みです。この記事では、ファン作りの基本的な考え方やメリット、企業が抱えがちな課題を解説。プレスリリースやSNS、コミュニティ運営などの具体的な施策や企業事例を紹介し、長期的な関係構築を通じてブランド価値や企業価値の向上につなげたい広報PR担当者の参考としても活用できます。

「広告を出しても反応が続かない」「SNSのフォロワーは増えているのに売上や問い合わせにつながらない」と悩みを抱える広報PR担当者は少なくありません。

商品やサービスの機能だけでは差別化が難しくなった今、多くの企業が注目しているのがファン作りです。ファンとは、企業やブランドの価値観に共感し、継続的に応援してくれる顧客を指します。

本記事では、ファン作りの基本から実践方法までを解説します。企業が取り組むメリットや具体的な施策、プレスリリースを活用した企業事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. ファン作りとは?企業活動における意味と注目される背景

  2. 企業がファン作りに取り組むメリットと得られる効果

  3. ファンが増えない企業に共通する課題

  4. 企業がファンを作るための具体的な方法【施策一覧】

  5. プレスリリースを活用したファン作り

  6. ファン作りでよくある失敗パターンと回避策

  7. ファン作りを成功させるためのポイント

  8. 企業のファン作り成功事例

  9. まとめ:ファン作りは継続的な発信から始まる

ファン作りとは?企業活動における意味と注目される背景

企業がファン作りに取り組むうえで押さえたいのが、ファンとはどのような存在なのかという点です。商品やサービスを利用している顧客と、企業やブランドを応援してくれるファンとでは、企業との関係性に違いがあります。

ここでは、ファンの特徴や企業との関係性について解説します。

ファン作りの定義:単なる顧客ではなく「応援してくれる存在」を増やす活動

ファン作りとは、企業やブランドに愛着や共感を持ち、継続的に支持してくれる人を増やす活動です。商品やサービスを購入している人が必ずしもファンとは限りません。

ファンは、商品やサービスだけでなく、企業の価値観や理念、社会に対する姿勢にも共感しています。そのため、継続的な利用に加え、自発的な口コミや情報発信につながることもあります。

ファンを増やすことは、企業にとって大きな強みです。商品やサービスの機能だけでは差別化が難しい中、共感や信頼を通じて顧客との関係を深められます。

広報PR担当者にとっても、ファン作りは重要なテーマのひとつです。企業理念や事業への想いを伝え続けることで、顧客との接点を育み、長期的な関係構築につなげられます。

顧客満足・ロイヤルカスタマー・アンバサダーとの整理

ファン作りと似た言葉に、顧客満足・ロイヤルカスタマー・アンバサダーがあります。それぞれの違いを整理すると、下記のようになります。

概念状態企業との関係性
顧客満足商品やサービスに満足している利用後の評価
ロイヤルカスタマー継続購入している購買行動が中心
アンバサダー自発的に情報発信している積極的な推奨者
ファン企業やブランドに共感し応援している感情的なつながりを持つ

広報PR担当者が目指したいのは、企業の考え方や取り組みに共感し、自発的に応援してくれるファンを増やすことです。

そのためには、商品やサービスの情報発信だけでなく、顧客との接点を通じて企業の姿勢や取り組みを継続的に伝えていく必要があります。ファンとの関係構築は、企業理解の促進や継続的な信頼形成につながり、企業を応援してくれる人を増やす基盤にもなります。

企業がファン作りに取り組むメリットと得られる効果

ファン作りは、商品やサービスの利用者を増やすための取り組みではありません。企業やブランドへの共感や信頼を育むことで、継続的な支持や情報発信につながる可能性があります。ここでは、企業がファン作りに取り組むことで得られるメリットについて解説します。

メリット

LTV(顧客生涯価値)の向上につながる

ファン化が進むことで、継続利用や推奨につながりやすくなり、LTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。LTVとは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことです。

マーケティング領域では、新規顧客の獲得には既存顧客の維持よりも多くのコストがかかる傾向があるとされ、「1:5の法則」として知られています。既存顧客との関係を深めるファン作りは、効率的な事業成長につながる取り組みです。

また、ファンとの継続的な関係は、売上だけでなく企業理解の促進にも貢献します。企業の発信や取り組みに関心を持ち続けてもらいやすくなるため、長期的なコミュニケーションを築きやすくなります。

顧客との接点を持ち続けながら、企業理解を深めていくことは重要です。日々の発信の積み重ねが、ファンとの長期的な関係構築につながります。

口コミやUGCによる新規顧客獲得が期待できる

企業やブランドへの共感が高まると、SNS投稿やレビューなどを通じて、自発的に情報発信する顧客が現れる場合があります。

SNS投稿やレビュー、ブログ記事などのUGC(ユーザー生成コンテンツ)が増えることで、企業からの発信だけでは届かない層への認知拡大が期待できます。第三者によるリアルな体験談や評価は信頼されやすく、商品やサービスを知るきっかけのひとつです。

また、SNS上で話題になった投稿がメディアの取材や記事化につながるケースもあります。ファンによる発信は、新たな情報発信の機会を生み出す存在といえるでしょう。

加えて、UGCは生活者のリアルな反応や評価を把握できる点も特徴です。広報PR担当者にとっては、企業やブランドへの理解度を知るだけでなく、発信テーマや企画立案のヒントを得られる貴重な情報源でもあります。

価格競争に巻き込まれにくくなる

商品やサービスの機能だけで比較される場合、価格競争に陥りやすくなります。一方で、ファンは企業の価値観やブランドストーリーにも共感したうえで商品やサービスを選びます。

企業への共感や信頼は、価格以外で選ばれる理由のひとつです。価格だけではない価値が伝わることで、継続的に選ばれやすくなります。

企業の考え方や姿勢を継続的に発信することが、差別化を支える軸です。広報PR活動を通じてブランドストーリーや社会への取り組みを伝えることで、商品やサービスだけでは伝わりにくい企業価値への理解が深まります。

広報PR活動では、商品やサービスの特徴を伝えるだけでは十分ではありません。事業に込めた想いや提供価値を発信することも重要です。企業への共感や信頼を育むことで、価格以外の価値が伝わりやすくなります。

商品開発やサービス改善に生かせる

企業への関心が高い顧客からは、商品やサービスに関する意見や要望が寄せられます。アンケートやコミュニティ、SNSなどを通じて集まる声は、商品開発やサービス改善の貴重なヒントです。

ファンは日常的に商品やサービスを利用しているからこそ、企業では気付きにくい課題やニーズを把握している場合があります。ファンは、単なる購入者ではなく、商品やサービスの改善を支える存在です。

ファンの声を取り入れることで、新たな改善点や企画の着想を得られることもあります。生活者の視点を反映しながら商品やサービスを磨ける点は、企業にとって大きな強みといえるでしょう。

企業への信頼や支持を育てやすくなる

ファン作りは短期的な売上向上だけが目的ではありません。企業やブランドへの共感を育みながら、長期的な信頼関係を築いていく活動でもあります。マーケティングや経営の分野では、売上の多くを一部の顧客が支えるというパレートの法則(80:20の法則)が知られています。

継続的に支持してくれるファンは、売上だけでなく口コミや情報発信、企業理解の促進など、さまざまな形で企業活動を後押しします。

企業理念や事業への想い、社会課題への取り組みなどを継続的に発信することで、商品やサービスだけでは伝わりにくい価値観への理解が深まります。

広報PR担当者にとっても、プレスリリースやオウンドメディア、SNSなどを通じて企業の姿勢を発信し続けることは重要な役割です。継続的な発信によって企業への信頼や共感が積み重なり、長期的なブランド価値の向上につながります。

ファンが増えない企業に共通する課題

ファン作りの重要性を理解していても、思うようにファンが増えない企業は少なくありません。その背景には、情報発信や顧客との関係構築の進め方に共通する課題があります。

ここでは、広報PR担当者がファン作りを進める際に陥りやすい課題と、その背景について解説します。

広報PR

商品やサービスの情報発信に偏っている

商品やサービスに関する情報発信は欠かせません。しかし、それだけでは企業への共感を生み出しにくいものです。

商品の特徴や機能を伝えることで事業内容は理解してもらえますが、事業に取り組む理由や大切にしている価値観までは十分に伝わりません。

ファンが共感するのは商品やサービスだけでなく、背景にある考え方や姿勢です。発信内容が商品紹介に偏ると、自社への理解が深まらず、顧客との関係構築も難しくなります。

広報PR担当者は、新商品やキャンペーンの告知だけでなく、企業の取り組みや活動背景を伝える視点が大切です。発信内容の幅を広げることで、商品情報だけでは伝わらない魅力が届きやすくなり、顧客との接点も生まれやすくなります。

顧客との接点が購入時だけになっている

顧客とのコミュニケーションが購入や契約のタイミングで終わってしまうケースは少なくありません。商品購入後に情報発信を行わなかったり、SNSで交流する機会がほとんどなかったりすると、企業への関心は徐々に薄れていきます。

ファンとの関係は、一度の購入で築かれるものではありません。継続的な情報発信を通じて企業との関わりを増やすことで、理解や共感が育まれていきます。

商品購入後も企業の取り組みや事業への想いを発信することが大切です。プレスリリースやオウンドメディア、SNSなどを活用しながら、顧客とのコミュニケーションを継続する視点が求められます。

ブランドの世界観・価値観が言語化されていない

ファン作りを進めるうえで、自社が大切にしている価値観や目指す姿が明確になっていないことは大きな課題です。企業として何を大切にしているのかが整理されていなければ、発信内容の一貫性も保ちにくくなります。

たとえば、SNSでは親しみやすさを打ち出している一方で、プレスリリースでは企業姿勢が見えないケースもあります。チャネルごとに伝える内容が変わると、生活者は企業の特徴を理解しづらくなるでしょう。

その結果、商品やサービスへの関心は集まっても、企業そのものへの関心まで広がりません。

ファン作りに欠かせないのが、自社らしさや価値観の言語化です。発信の軸を整理し、あらゆる接点で一貫して伝えることが重要になります。

広報PR担当者には、その軸をプレスリリースやオウンドメディア、SNSなどで伝え続ける役割があります。発信の軸が定まれば、生活者に企業らしさが伝わりやすくなります。

新規顧客の獲得を優先し既存顧客への施策が後回しになっている

多くの企業では、新規顧客の獲得に重点を置いた施策が優先される傾向があります。広告出稿やキャンペーン施策は成果が見えやすく、予算や人員も新規顧客向けの取り組みに集中しがちです。

一方で、既存顧客との関係構築に十分なリソースを割けていないケースも少なくありません。商品やサービスを利用してくれた顧客との接点が減ることで、関係性を深める機会も失われてしまいます。

その結果、顧客との関係が継続せず、ファン化の機会を逃す可能性があります。長期的な支持を得るためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との関係を育てる視点も欠かせません。

広報PR活動においても、認知拡大だけでなく既存顧客との継続的なコミュニケーションが重要です。企業理解を深める情報発信を続けることで、将来的なファンの獲得にもつながります。

企業がファンを作るための具体的な方法【施策一覧】

ファン作りにはさまざまな方法がありますが、すべてを広報PR担当者だけで実施する必要はありません。

大切なのは、自社の状況や目的に応じて適切な施策を選び、他部署とも連携しながら継続的に取り組むことです。ここでは、企業がファン作りを進める際に活用できる主な施策について解説します。

ピックアップ

プレスリリース配信:ブランドの想いやストーリーを社会に届ける

プレスリリースは、新商品やキャンペーンの告知だけでなく、事業の背景や取り組みの意義を発信できる施策です。メディア掲載を通じて企業の活動が第三者視点で紹介されることで、認知拡大だけでなく、自社への関心を高める機会にもなります。

また、比較的取り組みやすく、継続的に実践しやすい施策のひとつです。商品やサービスの情報だけでなく、開発の裏側や顧客との取り組み、社会に対する考え方などを伝えることで、事業への見方が広がります。

ファン作りでは、何を提供している企業かだけでなく、どんな考えで事業を続けているかも伝えることが重要。プレスリリースは、自社の姿勢や価値観を社会へ発信する有効な手段といえます。

オウンドメディア・SNSでの継続的な情報発信

オウンドメディアは、自社の取り組みや事業の背景を詳しく伝えられる情報発信の場です。商品紹介だけでは伝えきれないストーリーやノウハウを発信することで、顧客との接点を増やせます。

SNSは生活者との距離を縮めやすいチャネルです。コメントへの返信やリアクションを通じて、双方向のコミュニケーションを図れますが、一方的な告知だけでなく、対話を意識した運用が求められます。

広報PR担当者にとって、オウンドメディアとSNSは継続的な接点を生み出すための重要なチャネルです。プレスリリースだけでは伝えきれない情報を発信することで、顧客との接触機会を増やしやすくなります。

また、生活者から寄せられる反応やコメントは、関心事や課題を把握する貴重なヒントです。発信と対話を積み重ねながら、長期的な関係構築につなげていきましょう。

ファンコミュニティの形成・運営

ファンコミュニティは、企業と顧客だけでなく、ファン同士が交流できる場をつくる施策です。情報交換や体験共有が活発になることで、ブランドへの愛着や帰属意識の向上が期待できます。また、企業側にとっても顧客の声やニーズを把握できる貴重な機会です。

コミュニティ運営そのものはマーケティング部門や事業部門が担うケースもあります。一方、広報PR担当者には、そこで生まれたエピソードや参加者の声を発信する役割があります。

たとえば、交流をきっかけに実現した取り組みや参加者の体験談を紹介すれば、コミュニティの魅力を社内外へ伝えられるでしょう。

コミュニティは、顧客との距離を縮めるだけでなく、ファン同士の新たなつながりを生み出す場です。活動内容を継続的に発信することでコミュニティの価値が伝わり、参加を検討する人の後押しにもなります。

ファン限定イベント・ミートアップの開催

ファン限定イベント・ミートアップは、企業と顧客が直接交流できる機会をつくる施策です。商品体験会や工場見学、交流会などを通じて、日頃の情報発信だけでは伝わりにくい企業の魅力を体感してもらえます。

ファン作りで重要なのは、情報を届けるだけではありません。実際に見たり、聞いたり、体験したりする機会があるからこそ、企業を身近に感じてもらいやすくなります。担当者や開発者との対話、普段は見られない現場の見学も、その代表例です。

イベントで生まれたエピソードや参加者の声は、広報PR活動においても価値のある発信素材です。ファンとともに取り組んだ内容や当日の反応を紹介することで、参加していない人にもイベントの雰囲気や魅力を届けられます。

「また参加したい」「誰かに話したい」と感じる体験は、イベント終了後も記憶に残ります。

ロイヤリティプログラム・会員制度の設計

ロイヤリティプログラムや会員制度は、継続的に利用してくれる顧客との関係を深めるための仕組みです。限定コンテンツや先行案内、会員限定イベントなどを提供することで、利用を続ける理由をつくれます。

割引やポイント付与だけが会員制度の価値ではありません。会員だからこそ得られる情報や体験、参加機会を提供することで、特別感を持ってもらいやすくなります。

広報PR担当者は、会員向けの限定コンテンツの企画や情報発信を通じて、会員との接点作りに関われます。

また、会員制度を通じて集まった声や反応は、今後の情報発信や企画立案にも活用可能です。継続的な利用につながる要素を把握しやすくなる点も、会員制度を運営するメリットといえます。

ファンの声を反映した商品・サービス開発

ファンから寄せられた意見や要望を商品やサービスに反映する方法です。自分の声が採用されたとわかれば、商品やブランドへの関心も高まりやすくなります。

顧客参加型の商品開発や企画づくりは、ファンとともに新たな価値を生み出す取り組みです。商品開発に関するアンケートを実施したり、コミュニティで意見を募集したりすることで、多様な視点を取り入れられます。

また、開発の背景や改善プロセスを発信することで、どのような考えで商品やサービスが生まれたのかを伝えられます。完成した商品だけでなく、そこに至るプロセスを共有することも、ファンとの関わりを深めるうえで有効です。

UGCを促進する仕組みづくり

UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、SNS投稿やレビューなど、顧客が自発的に発信するコンテンツです。実際に利用した人の体験談や感想は信頼されやすく、新たな顧客に商品やサービスを知ってもらう機会にもなります。

UGCを増やすには、顧客が発信しやすい環境を整えることが重要です。ハッシュタグ企画や投稿キャンペーンの実施、体験を共有したくなるイベントの開催などは、その後の投稿を後押しします。

投稿されたUGCを企業側が紹介したり、感謝の言葉を伝えたりすることも効果的です。自分の発信を見てもらえたという実感は、継続的な投稿や参加への意欲にも影響します。

また、UGCは生活者の率直な声が集まるため、貴重な情報源です。どのような投稿に反応が集まっているのかを分析することで、今後の企画や情報発信を見直す起点にもなります。

アンバサダープログラムの実施

アンバサダーは、自社商品やブランドを継続的に応援してくれるファンです。企業から依頼された内容を発信するだけでなく、自身の体験や感じた魅力を自分の言葉で伝えてくれます。熱量の高いファンによる発信は、企業アカウントだけでは届きにくい層へ情報を届ける手段のひとつです。

UGCとの違いは、企業と継続的な関係性を築きながら発信してもらう点です。単発の投稿ではなく、企業やブランドへの理解を深めながら発信を続けてもらうことで、一貫性のある情報発信がしやすくなります。

また、アンバサダーとの対話を通じて、企業側も生活者視点の気付きや新たな発見を得られます。発信の様子や活動内容をプレスリリースやオウンドメディアで紹介すれば、ブランドが大切にしている考え方や取り組みもより具体的に届けやすくなります。

体験型コンテンツの提供

体験型コンテンツは、商品やサービスの利用だけでは伝わりにくい価値を実感してもらうための施策です。企業やブランドが大切にしている考え方を、体験を通じて届けられる点が特徴です。

たとえば、製造工程を見学できる工場ツアーや、生産者・開発担当者と交流できるワークショップ、ブランドの世界観を体感できる企画などが挙げられます。言葉や広告だけでは伝わりにくい内容も、実際に体験することで理解が深まりやすくなります。

体験型コンテンツの価値は、参加者自身が発見や学びを得られることです。商品だけでなく、背景にある考え方や取り組みに触れることで、ブランドをより多面的に捉えられるようになります。

また、参加者の感想や体験談は、今後の情報発信にも活用できます。どのような点に関心が集まったのかを把握することで、企画や発信内容を見直す際の参考になるでしょう。

社員発信の活用

企業アカウントだけでなく、社員による発信もファン作りに有効です。どのような人が働き、どのような想いで仕事に向き合っているのかが見えることで、企業の印象はより具体的になります。

社員発信の特徴は、公式アカウントでは伝えにくい日常や現場の空気感を届けられる点です。開発担当者が商品づくりへの考えを語ったり、現場担当者が日々の取り組みを紹介したりすることで、事業の裏側も伝えやすくなります。

企業理念や価値観も、社員一人ひとりの言葉を通じて発信されることで、より現実味を持って受け取られます。会社として発信するメッセージと社員の言動に一貫性があるほど、発信内容への納得感も高まります。

広報PR担当者は、社員が安心して発信できる環境を整えなければなりません。発信内容を管理するのではなく、それぞれの言葉で魅力を伝えられる状態を目指すことが大切です。

プレスリリースを活用したファン作り

ファン作りと聞くと、SNS運用やコミュニティ施策を思い浮かべる方も多いかもしれません。広報PR担当者にとって、プレスリリースはファンとの関係構築に活用できる重要な情報発信手段です。

ここでは、プレスリリースを活用してファン作りを進める方法について解説します。

プレスリリース

なぜプレスリリースがファン作りに有効なのか

広報PR担当者にとって取り組みやすく、継続しやすい施策のひとつがプレスリリースです。

プレスリリースは新商品やキャンペーンの告知だけでなく、事業の背景や取り組みの経緯を伝える手段です。発表内容だけでなく、裏側にある考え方や過程まで盛り込むことで、企業活動への関心を引き出せます。

メディアに取り上げられた際は、第三者の視点から情報が紹介されます。認知を広げるだけでなく、企業の取り組みに興味を持つ人との接点を増やせることも、ファン作りに活用される理由です。

ファン化につながるプレスリリースの3つの要素:ストーリー・共感・継続性

ファン化につながるプレスリリースには、共通する3つの要素があります。

1つ目は、ストーリーです。プレスリリースでは、何を発表するかだけでなく、なぜ取り組んだ背景も伝えましょう。商品開発の経緯や顧客の声を盛り込むことで、発表内容に厚みが生まれます。

2つ目は、共感です。商品やサービスの情報だけでなく、地域との取り組みや顧客とのエピソードなども発信することで、自分との関わりをイメージしやすくなります。

3つ目は、継続性です。ファンとの関係づくりは、一度の発信で完結するものではありません。企業活動や顧客との取り組みを積み重ねて発信し、一貫したメッセージを届けることが大切です。

3つの要素を意識して発信を続けることで、企業の取り組みや考え方が伝わりやすくなります。

配信時に意識したいポイント:生活者にも伝わる言葉選びと共感性

プレスリリースを配信する際は、メディア向けだけでなく、その先にいる読み手を意識することが大切です。専門用語や業界用語を多用せず、誰に向けた情報なのか、どのような価値がある情報なのかが伝わる表現を心がけましょう。

タイトルでは伝えたい内容を端的に示し、リード文では読み手が得られる価値を簡潔に伝えることが重要です。内容を理解してもらう前に離脱されてしまうと、本来届けたい情報も届きません。

ファン作りを目的としたプレスリリースでは、メディア掲載だけをゴールにしない視点も必要です。自分との関わりをイメージできる内容になっているか、一度立ち止まって見直してみましょう。

ファン作りを始めるための実践ステップ

ファン作りは、施策を増やせば成果が出るものではありません。まずは自社のファンを理解し、自社が届けたい価値を整理したうえで、継続的に関係を築くことが大切です。

ここでは、広報PR担当者がファン作りを進める際に押さえておきたい実践ステップを解説します。

ステップ

STEP1.現状のファン・顧客を分析する

ファン作りの出発点は、今いる顧客を知ることです。購買データだけを見て判断すると、顧客の熱量や行動までは見えてきません。継続利用している顧客やSNSで情報発信している顧客に注目し、特徴を整理してみましょう。

アンケートやレビュー、SNS投稿なども参考になります。UGCや取材記事への反応を確認すると、どのような情報に関心が集まっているのかも見えてきます。

STEP2.ファンの定義とペルソナを明確にする

ファン作りでは、誰との関係を深めたいのかを明確にする必要があります。すべての顧客に同じ情報を届けようとすると、発信内容や施策の方向性がぼやけてしまいます。

まずは、自社にとってのファンを定義しましょう。たとえば、「継続的に利用している」「SNSで発信している」「知人や友人に商品を勧めている」など、自社ならではの基準があると判断に迷いません。

次に、年齢や価値観、行動特性などを整理しながらファン像を具体化します。誰に向けて発信するのかが明確になることで、施策の優先順位も定めやすくなります。

STEP3.ブランドの価値観・ストーリーを言語化する

顧客像を整理したら、次は発信の軸を明確にします。商品やサービスの特徴だけを伝えていても、企業らしさや他社との違いは伝わりにくいものです。

企業理念や事業の背景、顧客に提供したい体験や価値などを整理し、自社が大切にしている考え方を言語化しましょう。発信の軸が定まると、プレスリリースやSNS、オウンドメディアなど複数のチャネルでも、自社らしい発信を続けやすくなります。

結果として、生活者に企業の姿勢が伝わり、共感を得るきっかけにもなります。

STEP4.顧客との接点を設計する

ファン作りでは、どのチャネルで顧客と接点を持つのかを整理することも重要です。話題になっている施策をそのまま取り入れても、自社の顧客に合わなければ十分な成果は期待できません。

まず整理したいのが、現在どのような接点を持っているのかという点です。プレスリリース、SNS、オウンドメディア、コミュニティ、イベントなど、顧客と接点を持つ手段はさまざまです。それぞれ役割や得意領域が異なるため、一括りにはできません。

そのうえで、認知を広げたいのか、継続的に情報を届けたいのかといった目的ごとにチャネルを整理します。役割が曖昧なまま施策を増やすと、運用負荷ばかりが大きくなりかねません。

STEP5.小さく施策を実行し双方向の関係をつくる

ファン作りでは、大規模な施策から始める必要はありません。実施しやすい施策を選び、顧客がどのような反応を示すのかを確認していきましょう。

SNSでのコミュニケーションやアンケート、コミュニティ運営などは、顧客の声を集めやすい施策です。想定していた反応との違いや、新たなニーズが見つかることもあります。

集まった声は、そのままにせず、次の施策や発信内容に反映します。実施して終わりではなく、反応を踏まえて改善を重ねましょう。

STEP6.効果測定とPDCAの設計

ファン作りでは、効果測定の方法をあらかじめ整理しておきましょう。売上やフォロワー数だけでは、ファンとの関係性の変化を十分に把握できない場合があります。

たとえば、NPS(顧客推奨度)やコミュニティ参加率、SNSエンゲージメント率、UGC投稿数なども参考になります。複数の指標を組み合わせることで、施策の成果を多角的に確認できます。

また、施策ごとに振り返りのタイミングを設けておくことも改善を続けるうえで重要です。結果を確認しながら改善を重ねることで、自社に合ったファン作りの進め方が見えてきます。

ファン作りでよくある失敗パターンと回避策

ファン作りは、施策を実施すれば成果が出るものではありません。取り組み方を誤ると、思うような成果が出ないまま運用だけが続いてしまうこともあります。

ここでは、広報PR担当者が陥りやすい失敗パターンと、その回避策について解説します。

失敗パターン1.ファンを数だけで評価してしまう

SNSフォロワー数や会員数など、わかりやすい数字だけを追ってしまうのはよくある失敗のひとつです。フォロワー数が増えていても、実際に企業を推奨している人や継続的に情報発信している人が少なければ、ファンが増えているとは言い切れません。

ファン作りでは、どれだけいるかだけでなく、どのような行動を取っているかを見る視点も必要です。フォロワー数や会員数だけで判断するのではなく、継続利用率やUGC投稿数、紹介行動などもあわせて確認しましょう。

失敗パターン2.短期的な成果を求めすぎる

ファン作りが途中で止まってしまう背景には、組織の評価構造が影響しているケースが少なくありません。

四半期ごとの業績評価や年度単位の予算申請サイクルは、本来は短期的な成果が見えにくいファン作りとは相性が悪く、数ヵ月で結果が出なければ、効果がない施策と判断されやすい環境をつくります。

また、ファン作りの効果は売上のように単一の指標で表しにくいため、経営層への説明が難しく、予算や体制の確保が後回しになりがちです。

施策を始める前に「どの指標を、いつ、どのように評価するか」を関係者と合意しておきましょう。NPSや継続利用率、コミュニティ参加率などの指標をあらかじめ設定しておくことで、短期の数字不振だけで施策が中断されるリスクを下げられます。

失敗パターン3.ファンの声を集めても施策に活かせていない

コミュニティやアンケート、SNSなどで意見を収集しても、社内で共有されないまま終わってしまうケースがあります。せっかく集めた声が活用されなければ、商品開発やサービス改善につながらず、ファンの期待に応えることもできません。

また、広報PR部門だけで顧客の声を抱えてしまうと、商品開発や営業、カスタマーサポートなどの部門に情報が届かず、組織全体で顧客のニーズや不満が共有されないままになってしまいます。

ファンの声は集めるだけでは価値を発揮しません。どの部署が確認し、どのように活用するのかまで決めておくことで、施策やサービス改善に活かしやすくなります。

失敗パターン4.部門間の連携が取れていない

広報やマーケティング部門だけでファン作りを進めると、社内の協力を得られないまま施策が進んでしまうことがあります。顧客体験の向上には、商品開発やカスタマーサポート、営業など、さまざまな部門と連携する必要があります。

広報PRとマーケティングの役割分担が曖昧な状態では、施策の目的や評価基準が統一されず、取り組みが中途半端になりがちです。

顧客アンケートやコミュニティで集まった声は、定期的に社内へ共有することで、関係部署も取り組みの意義を理解しやすくなります。ファン作りを広報PRだけの取り組みにせず、全社で支える体制づくりにつながります。

ファン作りを成功させるためのポイント

ファン作りでは、施策そのものよりも取り組み方が重要です。同じSNS運用やイベントでも、顧客との向き合い方によって得られる成果は大きく変わります。ここでは、広報PR担当者が意識したいポイントについて解説します。

ポイント

ファンを広告塔ではなく共創パートナーとして捉える

ファン作りを進めるうえで避けたいのが、ファンを情報拡散の手段としてのみ捉えることです。SNSで発信してくれたり、商品を紹介してくれたりする人は貴重ですが、それだけを期待して関係を築こうとすると、企業本位の姿勢になってしまいます。

ファンは、商品やサービスを利用するなかで企業に関心を持ち、自発的に応援してくれている存在です。そのため、企業にとって都合の良い行動を求めるのではなく、一人ひとりの意見や体験を尊重する姿勢が欠かせません。

ファンとの関係は、企業が一方的に築くものではありません。相手への敬意を持って向き合いましょう。

短期的な成果より長期的な関係構築を重視する

ファン作りの成果は、広告施策のように短期間で表れるものではありません。数週間や数ヵ月で大きな変化が見えなくても、取り組みを続けることが重要です。

売上やフォロワー数だけで成果を判断すると、十分な成果が出る前に施策を止めてしまう可能性があります。ファン作りでは、継続利用率やコミュニティ参加率、UGC投稿数などもあわせて確認しながら取り組みを評価することが大切です。

広報PR活動においても、単発の話題づくりだけに頼るのではなく、企業の活動や取り組みを継続して発信する姿勢が求められます。目先の数字だけに左右されず、時間をかけて取り組んでいきましょう。

双方向のコミュニケーションを大切にする

ファン作りは企業から情報を届けるだけでは成立しません。SNSやコミュニティ、イベントなどで寄せられた反応に向き合い、企業側も適切に応答していく姿勢が求められます。

たとえば、コメントへの返信やUGCの紹介、アンケート結果の共有などは、顧客との接点を維持するうえで有効です。すべての要望に応えられなくても、反応を受け止めていることが伝われば、顧客は企業とのつながりを感じやすくなります。

また、寄せられた意見を参考に改善を行った場合は、その内容を発信することも重要です。顧客からの声がどのように活かされたのかが見えることで、コミュニケーションは一方通行ではなくなります。

ブランドの価値観を一貫して発信する

ファンは商品やサービスだけでなく、企業がどのような考えで活動しているのかにも関心を持っています。そのため、SNSやプレスリリース、イベントなど複数の接点で伝える内容に一貫性を持たせることが大切です。

たとえば、SNSでは環境配慮を発信しているにもかかわらず、別の発信では異なる姿勢が見える場合、生活者は企業像をつかみにくいです。発信内容にずれがあると、企業が伝えたい内容も届きにくくなります。

自社として何を大切にしているのかを整理し、発信の軸を明確にしましょう。その軸に沿って情報発信を続けることで、チャネルごとに異なる印象を与えにくくなります。

経営層・現場・広報が同じ方向を向く

ファン作りは、広報部門だけで完結する取り組みではありません。経営層が示す方向性、顧客と接する現場、情報発信を担う広報PR担当者の認識がそろっていることが重要です。

たとえば、広報ではブランドの魅力を発信していても、現場で提供される体験との間にずれがあれば、顧客は違和感を覚えます。発信内容と実際の体験に一貫性を持たせるためにも、部門間で共通認識を持つことが、その土台となります。

定例会議やレポート共有などを通じて、目指す方向性や施策の目的を継続的に確認することも有効。認識のずれを減らすことで、顧客との接点ごとに異なる印象を与えにくくなります。

企業のファン作り成功事例

企業によって、ファン作りの方法は異なります。しかし、ファンとの接点の作り方や発信内容には、それぞれの企業らしさが表れています。

ここでは、広報PR担当者が参考にしたい3つの事例について解説します。

事例1.株式会社ヤッホーブルーイング

ヤッホーブルーイングは、「ビールに味を!人生に幸せを!」というミッションのもと、クラフトビールを単なる商品ではなく、楽しさや幸せを届ける体験として発信しています。同社の広報PRで特徴的なのは、熱量の高いファンに深く届く企画作りです。100人に1人でも熱狂的に刺さり、喜んでもらえるものを届けるという考えのもと、ターゲットを絞った企画を設計しています。

『隠れ節目祝い by よなよなエール』では、卒乳やイヤイヤ期卒業など、日常の中で見過ごされやすい節目に着目。子育て中の人に寄り添う企画として共感を集め、応募は2.6万件以上にのぼりました。できるだけ多くの人に届けるのではなく、強く共感してくれる人に向けて企画を設計することで、熱量の高いファンとの接点を生み出しています。

事例2.株式会社ピエトロ

ピエトロは、福岡市の一軒のパスタレストランから始まった企業です。レストランで提供していたドレッシングが評判となり、顧客からの要望に応える形で商品化につながりました。創業40周年を機にファンベースの考え方を経営に取り入れ、大規模な広告に頼るのではなく、目の前の顧客との信頼関係を大切にした地道な発信を続けています。

プレスリリースでも商品の情報だけでなく、ピエトロの歴史やものづくりへのこだわり、キャラクターを活用したファン参加型企画などを発信。商品の魅力だけでなく企業の歴史や考え方まで伝えることで、商品をきっかけに企業への関心を持ってもらい、全国に”ピエトロLOVERS”を増やすことを目指しています。

事例3.株式会社栃木ブレックス

株式会社栃木ブレックスが運営する宇都宮ブレックスは、B.LEAGUEでリーグ最多となる3度の優勝を果たしたプロバスケットボールチームです。競技面の強さだけでなく、ファンや地域との関係構築を広報PRの柱に据えており、「強く愛されるモチベーションあふれるチーム」という理念のもと地域貢献活動を継続。選手やコーチが地域を訪問する「ブレックス・クリニックキャラバン」をはじめ、累計実施回数は6,000回を達成しています。

同チームが大切にしているのは、ファンを応援する人ではなく、チームをともにつくる仲間として位置付けるという考え方です。BREX NATIONという概念のもと、ファン・スポンサー・自治体・メディアなどチームに関わるすべての人を仲間として捉えることで、応援する側とされる側という関係を超えた一体感を生み出しています。理念を言葉で発信するだけでなく、活動として積み重ねることで、地域やファンとの結び付きを強めている事例です。

まとめ:ファン作りは継続的な発信から始まる

ファン作りとは、企業やブランドに共感し応援してくれる存在を増やす取り組みです。熱量の高いファンは、継続利用や口コミによる認知拡大などを通じて、企業の成長を支えます。

ファン作りを進める際は、次のポイントを意識しましょう。

  • 現状のファンや顧客を分析する
  • 発信の軸となる価値観や考え方を整理する
  • プレスリリースやSNSなど自社に適した手法で継続的に情報を届ける
  • 顧客からの反応に向き合い改善に活かす
  • 短期的な成果で判断しない

ファン作りは、一度のキャンペーンや情報発信で実現できるものではありません。届ける相手を明確にしながら発信を続け、顧客との接点を積み重ねていくことで少しずつ育まれます。

広報PR担当者は、自社の取り組みや考え方を社会へ伝える役割を担っています。まず取り組みやすい施策のひとつがプレスリリースです。自社の取り組みや考え方を継続して発信することが、ファン作りの第一歩になります。

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この記事のライター

石田千尋

石田千尋

ライター・編集者。人材業界やIT企業での人事職を経て、現在は企業の採用広報やオウンドメディア、PRコンテンツ制作に従事。企業noteや採用サイト向けコンテンツのほか、ビジネスメディアでのインタビュー記事制作などに携わる。

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