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価格競争を避けるには?値下げに頼らない集客・販売戦略と差別化のポイントを解説

価格競争を避けるには?値下げに頼らない集客・販売戦略と差別化のポイントを解説
この記事でわかること
価格競争を避けるには、値下げではなく価格以外の「選ばれる理由」をつくることが重要です。本記事では、価格競争が起こる背景やリスク、陥りやすい企業の共通点を整理。値下げに頼らない10の集客・販売戦略、実践5ステップ、成功のポイントや企業事例を紹介します。

「値下げしないと売れない」「競合が値下げすると、自社も価格を下げてしまう」といった悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。価格だけで比較される状況から抜け出すには、自社の商品・サービスが持つ価値を整理し、顧客に伝えることから始まります。

本記事では、価格競争が起こる背景や陥りやすい企業・店舗の共通点、値下げに頼らず選ばれるための集客・販売戦略、差別化のポイントを具体的に解説します。

目次
  1. 価格競争とは?企業・店舗が巻き込まれる背景

  2. 価格競争に巻き込まれる3つのリスク・デメリット

  3. 価格競争に陥りやすい企業・店舗の共通点

  4. 価格競争を避けるための基本戦略:価格以外の価値で選ばれる状態をつくる

  5. 値下げに頼らない集客・販売戦略10選

  6. 価格競争対策でよくある失敗パターンと対策

  7. 価格競争から抜け出すための実践5ステップ

  8. 値下げに頼らない戦略を成功させる3つのポイント

  9. 価格競争を避けて選ばれる存在になった成功事例

  10. まとめ:価格以外の「選ばれる理由」をつくり、価格競争から抜け出そう

価格競争とは?企業・店舗が巻き込まれる背景

価格競争への対策を考える前に、まずはどのような状態を指すのか、なぜ起こるのかを整理しておきましょう。ここでは、価格競争の定義や起こりやすい環境について解説します。

価格競争とは?

価格競争の定義:価格の引き下げによって顧客獲得を競う状態

価格競争とは、商品・サービスの価格引き下げを主な競争手段として、企業が顧客獲得やシェア拡大を競う状態を指します。

商品・サービスの違いがわかりにくいと、顧客にとって価格は比較しやすい判断材料になるでしょう。その結果、企業側も価格を下げることで競争しやすくなり、1社が値下げすると競合企業も追随するなど、値下げが連鎖することがあります。

ただし、セールやキャンペーンなど、期間や対象を限定して戦略的に価格を下げることとは区別して考える必要があります。値下げが選択肢のひとつではなく、顧客に選ばれるための主な競争手段になっていることが、価格競争の特徴です。

価格競争が起こりやすい市場・業界の特徴

価格競争の起こりやすさは、業界だけで決まるものではありません。次のような特徴がある市場では、価格が顧客の判断材料になりやすく、価格競争も起こりやすくなります。

  • 価格以外で比較できる情報が少ない
  • 商品・サービスの違いが顧客から見えにくい
  • 市場が成熟し、機能や品質が似通っている
  • 競合企業が多く、代替となる商品・サービスを選びやすい

また、ECサイトや価格比較サービスの普及により、複数の商品・サービスの価格を簡単に比較できるようになったことも、価格による比較がしやすくなった背景のひとつです。

自社が価格競争に巻き込まれやすいかを考える際には、顧客から見て価格以外にどのような違いがあるのかという視点で確認しましょう。

価格競争と非価格競争の違い:価格以外の価値で選ばれるという考え方

価格競争が価格を主な比較軸とするのに対し、非価格競争では品質や機能、ブランド、顧客体験、接客、利便性など価格以外の要素でも他社との違いを生み出します。

顧客が違いを認識できれば、価格だけではなく「自分に合っている」「この商品だから購入したい」といった理由も含めて商品・サービスを選べるようになります。

ただし、非価格競争は「高価格で販売する」「価格を考えなくてよい」という意味ではありません。価格以外にも顧客が判断できる材料をつくり、価格だけに偏っていた比較軸を広げることがポイントになってきます。

価格競争に巻き込まれる3つのリスク・デメリット

値下げによって競合に対抗したり、一時的に販売数を伸ばせたりしても、価格競争が長期化すると企業にさまざまな影響が生じてきます。ここでは、価格競争が続くことで起こりやすい3つのリスクについて解説します。

リスク1.利益率の低下と経営体力の消耗

価格競争が続くと、商品・サービスが売れていても、十分な利益を確保しにくくなります。販売価格を下げても、仕入れ費や人件費などのコストが同じ割合で下がるとは限らないため、1件あたりの利益は減少します。

利益が減少すると、商品開発や人材採用、設備、マーケティングなど、商品・サービスの価値を高めるための投資に充てられる資金が限られるでしょう。

競合との差別化に必要な投資が難しくなれば、価格以外の強みを生み出す余力も失われ、値下げで対応する状況が続きやすくなります。一時的に販売数や売上が伸びても、利益が十分に残らない状態が続けば、企業の経営体力は次第に消耗してしまいます。

リスク2.ブランド価値・商品イメージの毀損

値下げを繰り返すと、顧客が商品・サービスに抱くブランドイメージや価格の認識に影響することがあります。

顧客は過去に目にした価格も参考に商品を検討するため、値引きが常態化すると、通常価格よりも値引き後の価格を意識して購入を判断するようになる可能性があります。

自社のこだわりに強みがあっても、安く買えることがブランドの特徴として認識され、価格以外の価値が顧客に伝わりにくくなることがあるでしょう。

価格競争を続けることは、目先の売上や販売数だけでなく、顧客から「どのような理由で選ばれるか」にも影響します。値下げを行う際は、短期的な販売促進の効果だけでなく、ブランドイメージや通常価格への納得感に与える影響も念頭に置いておきましょう。

リスク3.「安いから買う」顧客が増えリピーターが定着しない

値引きによって新規顧客を獲得できても、安さが購入理由になっている場合、継続的な利用につながるとは限りません。商品・サービスの価値やブランドへの支持ではない場合、競合がより低い価格を提示すると、比較や乗り換えの対象になりやすくなります。

値引きを繰り返すことで、顧客がセールのタイミングを待って購入を決めるようになれば、通常価格での販売につなげにくくなる可能性があるでしょう。

安さを主な理由として獲得した顧客は、価格の変化によって離れる可能性もあります。新規顧客を増やすだけでなく、継続して選ばれる顧客基盤をつくるうえでも、価格競争は注意が必要です。

価格競争に陥りやすい企業・店舗の共通点

価格競争に巻き込まれる原因を市場環境や競合の動きに求めがちですが、自社の強みの整理や情報の伝え方の状況も影響していることがあります。ここでは、価格競争に陥りやすい状態になっていないかを確認するための4つの共通点を整理します。

共通点

自社の強み・独自価値を言語化できていない

「高品質な商品を提供している」「丁寧なサービスを心がけている」という自己評価はあっても、顧客に向けて具体的な言葉で説明できているかというと、意外と難しいものです。

競合ではなく自社を選ぶ理由を問われたときに、「品質が高いから」「サービスが丁寧だから」といった答えにとどまっている場合は、自社ならではの価値を十分に言語化できていない可能性があります。

自社の強みや独自価値が整理されていなければ、顧客に競合との違いや価格以外の選択理由を伝えることも難しくなります。

あわせて、顧客が実際に何を評価して選んでいるのかも把握しましょう。顧客の声を起点に、競合ではなく自社を選ぶ理由まで具体化できれば、価格以外の価値を伝えられます。

競合と同じ訴求軸・同じ土俵で戦っている

独自の強みがあっても、競合と似た特徴や価値ばかりを訴求していると、顧客から見た違いが伝わりにくいでしょう。競合各社が同じような特徴を打ち出している市場では、自社も同じ表現を並べるだけでは、顧客にとっての選択理由になりにくくなります。

競合各社の訴求内容と自社の発信を並べ、顧客から見て違いが伝わる状態になっているかを見直してみましょう。競合とは異なる価値を比較軸として提示できれば、どこも同じ状態から抜け出し、価格以外の理由で比較してもらいやすくなります。

価格以外の判断材料を顧客に提供できていない

自社に競合との違いや独自の価値があっても、顧客に届いていなければ、購入時の判断材料にはなりにくいものです。顧客は商品ページやWebサイト、店頭、SNSなど、実際にアクセスできる場所で得られる情報をもとに比較します。

たとえば、商品ページに価格・スペック・基本情報しか掲載されていない場合、顧客が比較できる情報は自然と価格中心になります。開発の背景、利用シーン、導入実績、顧客の声など、商品の価値を理解するための情報が少ない状態では、価格以外の軸での比較が難しくなるでしょう。

顧客が購入前に触れる情報を洗い出し、価格以外の価値が伝わる内容になっているかを見直すことが大切です。顧客が比較できる情報を充実させることで、価格だけでは判断できない比較材料を増やせます。

認知度が低く「知られていない」ことを値下げで補っている

新規顧客に知ってもらうきっかけとして、値下げや割引を活用すること自体は珍しいことではありません。ただ、「割引をしないと新規顧客が集まらない」「セール時には売れるが通常時には選ばれにくい」といった状態が続いているなら、現在の集客の構造を見直してみましょう。

値引き情報の発信が中心になると、商品・サービスの特徴や価値を知ってもらう機会が相対的に少なくなります。

何を提供している企業・店舗なのか、競合と何が違うのかが十分に知られないまま、値下げやセールが新規顧客との接点になってしまうことがあります。

値引きによって一時的に注目を集めるだけでなく、特徴や価値を知ってもらえる接点を増やしましょう。「この商品だから選びたい」と思ってもらえる認知を広げることが、値下げに依存しない集客につながります。

価格競争を避けるための基本戦略:価格以外の価値で選ばれる状態をつくる

競争を避けるためには、価格以外で選ばれる理由をつくることも、あわせて考える必要があります。ここからは、価格以外で選ばれる状態をつくるために、差別化・ブランディング・情報発信の3つの方向性から基本戦略を整理します。

差別化戦略:商品・サービスの独自価値を磨く

価格以外で選ばれるための土台となるのが、顧客にとって意味のある独自価値をつくる「差別化」です。競合と商品・サービスの特徴が似ているほど、顧客にとって価格以外の比較材料が少なくなります。

差別化の要素は、品質や機能にとどまりません。専門性や対応スピード、サポートの充実度、利便性、特定の顧客や課題への特化なども、競合との違いをつくる要素になります。

ここで意識したいのは、顧客にとって価値のある違いになっているかという点です。独自の取り組みや特徴があっても、顧客の選択理由にならなければ、十分な差別化にはつながりません。自社だから提供できる価値を明確にすることが、価格以外で選ばれる状態をつくる出発点になります。

ブランディング:「この会社・この店だから買いたい」という理由をつくる

独自価値が明確になったら、次に必要なのが、価値を一貫したブランドイメージとして顧客に示す「ブランディング」です。

商品ごと・顧客接点ごとに伝える内容や体験がばらばらでは、「この企業ならこういう価値を得られる」という期待や信頼につながりにくくなります。品質だけでなく、企業の理念、接客の姿勢、デザイン、発信するメッセージなどに一貫性を持たせることで、顧客がブランドに対して一定のイメージや期待を形成しやすくなるでしょう。

企業への期待が顧客のなかに根付いていくと、価格だけで比較・判断されにくい関係性が生まれてきます。ロゴやデザインを整えるだけでなく、接客や情報発信なども含めて、一貫したブランド体験をつくっていくことが求められます。

情報発信:価値は伝わって初めて選ばれる理由になる

独自の価値をつくり、ブランドとして一貫した形に整えても、それが顧客に伝わっていなければ選択理由にはなりにくいでしょう。企業にとっては当たり前の内容でも、発信しなければ顧客の目に届きません。

機能やスペックだけでなく開発の背景や企業の考え方、顧客が得られる価値などを、判断できる情報として届けることが、価格以外の比較軸を提供することにつながります。

社外へ届けるうえでは、広報PR活動も有効な手段です。商品・サービスの特徴だけでなく、開発の背景や企業の考え方まで発信することで、価格だけでは見えない価値を知ってもらう接点をつくれるでしょう。

価格競争を避けるためには、価値をつくることと、その価値を顧客に届けることを、切り離さずに考える必要があります。

値下げに頼らない集客・販売戦略10選

前章では、差別化・ブランディング・情報発信という3つの戦略の方向性を整理しました。ここでは、その方向性を実行するための具体的な手段を紹介します。自社の状況や強みをふまえて、取り組みやすい施策を選んで組み合わせてみてください。

プレスリリース配信:商品・サービスの価値を社会やメディアに届ける

プレスリリースは、自社の商品・サービスや取り組みに関する情報を、メディアや社会へ向けて発信するための手段です。新商品・新サービスの告知だけでなく、商品の開発背景、ものづくりへのこだわり、独自の調査・データ、地域との取り組み、記念日に合わせた企画なども、プレスリリースの題材として活用できます。

「新しい商品がないと発信できない」と思われる場合も、既存の商品や取り組みから、社会やメディアに届ける意味のある切り口を探すことで、発信の機会を広げられるでしょう。

プレスリリースがメディアに取り上げられると、自社の発信だけでは届かなかった層にも商品や企業の特徴を知ってもらう機会が生まれます。プレスリリース自体は企業が発信する情報ですが、メディアの記事や報道として届く場合には、価格からは伝わりにくい要素にも目が向けられやすくなります。

自社では当たり前になっている商品・サービスの背景にも、社会やメディアから見ればニュースになる価値が隠れている可能性があるでしょう。価格では伝えきれない価値を社会に向けて発信し、新たな認知につなげられることがプレスリリースの強みです。

SNS発信:企業や商品のストーリー・価値観を継続的に伝える

SNSは、商品が生まれた背景や企業・ブランドの価値観を日常的に伝えられるチャンネルです。商品の開発過程、スタッフの思い、ものづくりの裏側、商品の活用シーンなど、商品ページや広告では伝えにくい情報も発信できます。コメントへの返信など、生活者との双方向のやりとりができることも特徴です。

商品・サービスへの理解や企業・ブランドへの共感が深まれば、「この会社の商品だから選びたい」と感じてもらうきっかけになります。購入時以外にも接点を持つことで、価格だけで比較されにくい関係を育てられるでしょう。

オウンドメディア・ブログ:価格だけでは伝わらない専門性やこだわりを発信する

自社サイト内のブログやオウンドメディアは、商品・サービスについて詳しく発信できる施策です。SNSの短い投稿や商品ページの説明文では伝えきれない内容を、記事として蓄積できます。

記事を継続して発信することで、顧客が商品・サービスについて詳しく調べるときに参照できる情報も増えていきます。価格やスペックだけではなく、自社ならではの専門性やこだわりを判断材料として示すことで、価格以外の軸でも比較・検討してもらいやすくなるでしょう。

特に、購入前に詳しく情報収集される商品・サービスでは、検討段階でこうした情報に触れてもらえる状態をつくることで、価格だけでは見えない価値への理解につながります。

口コミ・レビュー・UGC:顧客のリアルな評価を新たな顧客に届ける

既存顧客から寄せられた口コミやレビュー、UGCは、実際の利用者が感じた商品・サービスの価値を見込み顧客へ届ける施策です。商品ページに購入者のレビューを掲載したり、SNSに投稿された商品の感想や活用シーンを、許諾を得たうえで自社サイトや公式SNSで紹介したりする方法があります。

「使いやすかった」「スタッフの対応がよかった」といった、企業側の説明だけでは伝わりにくい利用者目線の具体的な体験も共有できます。企業が想定していなかった商品の魅力や意外な使い方など、利用者の視点ならではの情報が新たな価値を伝えることもあるでしょう。

利用者の声があることで、購入を検討している顧客は、商品・サービスのイメージを持ちやすくなります。価格やスペックだけではわからない実際の使い心地や体験まで伝われば、それらも含めて比較してもらえるようになります。

接客・店舗体験:商品以外の体験価値を高める

店舗体験は、接客や購入前後の体験を充実させ、店で買うことに価値を持たせる施策です。顧客の悩みや目的に合わせた商品の提案、試用・試食、商品の特徴や使い方の説明、購入後のサポートなどが具体的な取り組みとして挙げられます。

売り場づくりや店舗の雰囲気など、商品を選んで購入するまでの体験全体を整えることも求められます。商品の内容が競合と大きく変わらない場合でも、自分の悩みや目的に合った提案を受けられたり、安心して選べたりすることが、店舗ならではの価値になるでしょう。

接客や購入体験も含めて「この店で買いたい」と思ってもらえれば、商品の価格だけでは比較されにくくなります。同じような商品を扱っていても、購入までの体験を選ばれる理由にできるのです。

限定商品・季節企画:価格以外の「今買う理由」をつくる

季節限定の商品やメニュー、数量限定商品、地域限定品、期間限定の企画など、限定性を取り入れて値引き以外の購入のきっかけをつくる方法もあります。

販売期間や数量を限定するだけでなく、季節の行事や地域の特色など、商品・ブランドと関連性のある企画にすることで、通常の商品とは異なる特別感を生み出せるでしょう。

「今しか買えない」「ここでしか買えない」という限定性は、価格の安さとは異なる購入の動機になります。商品に合った限定性を加えることで、値下げに頼らず購入を後押しできます。

セット販売・アップセル:値下げせず客単価を高める

単品を値下げするのではなく、複数の商品を組み合わせたり、より適した上位商品・プランを提案したりする施策もあります。たとえば、関連商品をまとめたセットや複数のサービスを組み合わせたプラン、機能が充実した上位プランの提案などが挙げられます。

顧客の目的に合った組み合わせを提示することで、商品をひとつずつ選ぶ手間を省きながら、単品では得にくい利用価値を提供できます。上位商品やプランについても、顧客のニーズに応じて提案することで、より適した選択肢を示せるでしょう。

単品の価格を下げてお得感を出すのではなく、組み合わせや提案によって顧客が得られる価値を高めることで、値下げに頼らず購入単価の向上を目指せます。

会員制度・ロイヤルティプログラム:価格以外の継続利用メリットをつくる

会員制度やロイヤルティプログラムは、既存顧客に商品・サービスを継続して利用してもらうための仕組みです。限定コンテンツや新商品・イベントの先行案内、購入実績に応じた特別な体験など、会員だからこそ得られる特典を提供します。

値引きやポイント還元だけではなく、ブランドや商品をより深く楽しめる特典を設けることで、価格以外にも継続して利用する理由をつくれます。

利用を重ねるなかで得られる体験やブランドへの愛着も選ぶ理由になれば、自社の商品・サービスを継続して選んでもらいやすくなるでしょう。

コラボレーション・タイアップ:他社・地域との掛け合わせで新しい価値をつくる

他社や自治体、地域などと連携し、それぞれの強みや特徴を掛け合わせた商品・サービス・体験をつくる方法もあります。他社ブランドとの共同開発や地域の特産品や文化を活かした商品企画、自治体とのイベント、共同コンテンツの制作などが挙げられます。

コラボレーション先を選ぶ際は、話題性だけではなく、自社のブランドや顧客層との親和性を考えることが大切です。双方の強みや特徴を生かせる組み合わせであれば、新たな商品や体験を生み出せます。

相手先の技術やブランド、地域性などを掛け合わせることで独自性が生まれ、競合にも再現されにくい選択理由をつくれるでしょう。

メールマガジン・LINE:継続的な情報提供で既存顧客との関係を深める

メールマガジンやLINEは、購入後も既存顧客へ情報を届け、継続的な接点をつくるための施策です。会員登録や購入などですでに接点のある顧客に、継続してアプローチできるという特徴があります。

発信する内容は、セールや値引きの情報に限りません。活用方法や新商品・サービスのお知らせなどを届けることで、自社やブランドについてより深く知ってもらう機会をつくれます。購入履歴や関心に合わせて内容を変えるといった、顧客に応じた情報発信も可能です。

購入後も接点を持ち続けることで、次の購入時に自社を思い出してもらうきっかけになります。セールのタイミングだけではなく、日頃から役立つ情報を届けて信頼を積み重ねることで、価格以外の理由で再び自社を選んでもらえます。

価格競争対策でよくある失敗パターンと対策

差別化や情報発信に取り組んでいても、やり方のずれから思ったような結果につながらないこともあります。ここでは、価格競争対策に取り組む際に起こりやすい3つの失敗パターンについて整理します。

失敗パターン1.差別化したつもりが顧客に価値が伝わっていない

こだわりを発信しているにもかかわらず顧客の購入理由として機能していない場合、伝え方に課題がある可能性があります。

たとえば「職人が手作業で製造している」という特徴を伝えるだけでは、実際にどのような違いを生み出しているのかは顧客に伝わりにくいです。手作業がもたらす商品の違いや顧客にとってのメリットまで説明することで、特徴が選択理由として伝わりやすくなります。

自社が伝えたい特徴を並べるのではなく、違いが顧客にとってどんな意味を持つのかまで具体化することが、情報発信を見直すうえでは重要です。すでに発信している内容が顧客の比較や判断の材料として機能しているかどうか、一度確認してみるとよいでしょう。

失敗パターン2.値引きを急にやめて既存顧客が離れてしまう

価格競争から抜け出そうとして、これまで行っていた値引きや割引を急にやめると、既存顧客の離脱につながる可能性があります。価格の安さを主な購入理由としていた顧客にとっては、値引きがなくなることで購入の動機が弱くなる場合もあるでしょう。

値引きや割引を前提とした購買行動が定着しているほど、急な方針転換のリスクは大きくなりやすい傾向です。一方で、価格競争を避けることは、今すぐ値引きをすべてやめることとは異なります。顧客が価格以外に評価している価値を確認しながら、その価値を伝える施策と並行してながら、段階的に値引きのあり方を見直すことが現実的です。

値引きを縮小する際も、通常価格でも選びたいと思える理由を顧客に伝えていきましょう。価格施策だけを変更するのではなく、選ばれる理由も整えながら進めることが重要です。

失敗パターン3.高付加価値化を目指したものの顧客のニーズとずれてしまう

価格以外で差別化しようと新機能や手厚いサービスを追加したものの、顧客から評価されず成果につながらないケースがあります。背景にあるのは、企業側が考える付加価値と顧客が実際に求めているものが、必ずしも一致するとは限らないという点です。コストをかけて価値を追加しても、顧客に必要とされなければ選択理由にはなりにくくなります。

こうした状況を避けるには、顧客が自社の商品・サービスに何を求めているかを把握することが欠かせません。既存顧客へのヒアリングや問い合わせ内容、購買理由などを確認することで見えてくる、実際に評価されている点、不満に感じられている点を整理しましょう。

価格競争を避けるための付加価値を考える際は、顧客にとって価値があるかという視点が欠かせません。評価されているポイントを起点に考えることで、顧客のニーズとずれた機能やサービスへの投資を避けながら、差別化の方向性も定めやすくなります。

価格競争から抜け出すための実践5ステップ

価格競争を避けるための戦略や施策を理解したうえで、次に考えるのは実際に何から手を付けるかです。前章で紹介した施策を実行手段の選択肢として、ここでは実行に移す際の流れを5つのステップで整理します。

ステップ

STEP1.現状分析:自社が「価格で選ばれている」理由を把握する

いきなり差別化施策を考える前に、まず自社の商品・サービスが、どの程度価格を理由に選ばれているのかを確認しましょう。価格競争が起きている状況や背景を整理しておくことで、自社に必要な対策を検討しやすくなります。

具体的には、競合との価格差の確認、値引き時と通常時の販売数・売上の比較、顧客の購入理由や失注理由、問い合わせ内容の傾向などが確認します。

また、顧客アンケートや営業・接客担当へのヒアリングを通じて、「なぜ自社を選んだのか」「競合と迷ったポイントは何だったか」といった声を集めると、数値からは見えにくい実態を把握しやすくなります。

このSTEP1で確認したいのは、価格が選択に影響している程度だけではありません。同時に、すでに価格以外で評価されている点があるかどうかも把握しておくことで、次のSTEP2で独自価値を整理する材料になります。

STEP2.独自価値の言語化:価格以外の「選ばれる理由」を明確にする

STEP1で集めた顧客の声や購入理由、競合との違いをもとに、価格以外の選ばれる理由を言語化します。「高品質」「丁寧な対応」「こだわりがある」といった表現だけでは、競合との違いや顧客にとってのメリットが伝わりにくいままです。

「誰に・どのような価値を提供しているのか・なぜ自社だから提供できるか」という3つの観点で整理することで、抽象的な強みを具体的な言葉に落とし込みやすくなります。その際、自社が強みだと考えていることと、顧客が実際に評価していることにずれがないかを、STEP1で収集した情報と照らし合わせながら確認していきましょう。

STEP2の目標は、「誰に、どのような価値を提供できるから選ばれているか」を一文程度で説明できる状態にすることです。言語化することで、次のSTEP以降を設計する土台になります。

STEP3.顧客層の明確化:価値を評価してくれる顧客層を定める

STEP2で言語化した価値を、どのような顧客が特に評価してくれるか明確にします。同じ商品・サービスでも、顧客が抱える課題や購入時に重視するポイントによって、魅力に感じる価値は異なります。

年齢・性別などの属性だけで考えるのではなく、「どのような課題を抱えているか」「商品選びで何を重視しているか」「どのような場面で利用するか」まで整理することで、自社の価値を評価してくれる顧客像が具体的になります。

既存顧客の中でも、価格以外の理由で購入・継続利用している顧客に目を向けると、どのような人に自社の価値が支持されているのかが見えてきます。共通するニーズや選択理由を整理し、価格以外の価値を届けたい顧客層を具体化するのがおすすめです。

STEP4.情報発信の設計:価値が伝わるチャネルとメッセージを決める

STEP4では、整理した独自価値と顧客像をもとに、「誰に・何を・どのような目的で届けるか」を設計します。

まず、既存顧客との関係強化、新規顧客への認知拡大、商品・サービスへの理解促進など、情報発信の目的を明確にします。目指す成果によって、届けるべき内容や適したチャネルは異なるので注意しましょう。

たとえば、自社のことをまだ知らない人に広く知ってもらいたい場合と、購入経験のある既存顧客との関係を深めたい場合では、適切な発信内容や手段も変わります。

誰にどのような価値を伝え、どのような行動につなげたいのかを整理したうえで、チャネルや発信内容を選ぶことが大切です。

前章で紹介した施策はいずれも、価値を伝えるための手段です。顧客層や情報発信の目的に合わせて選ぶことで、それぞれの施策をどのように活用するべきかが明確になります。

STEP5.効果検証:価格以外の指標で成果を測り改善する

施策を実行した後は、売上の変化だけでなく、価格以外の理由で選ばれる状態に近づいているかを検証します。価値の訴求やブランドの認知は、短期的な売上だけでは変化を捉えにくいことがあるためです。

客単価やリピート率などの購買指標、指名検索数、メディア掲載数などから、施策の目的に合った指標を選びましょう。数値だけでなく、顧客アンケートや購入後のヒアリングを通じて自社を選んだ理由を聞くことで、定量データだけでは見えにくい変化も捉えられます。

施策の開始前に現状の数値や顧客の声を記録し、一定期間ごとに変化を比較していきましょう。その結果をもとに、伝える価値や顧客層、発信内容を見直しながら改善を重ねることで、価格以外で選ばれるために効果のある取り組みを見極めやすくなります。

値下げに頼らない戦略を成功させる3つのポイント

価格競争を避けるための施策は、取り組む期間や進める順序、社内での認識を揃えることも、成果を左右する要素になります。ここでは、実践する際に意識しておきたい3つのポイントを紹介します。

ポイント

短期的な売上変動に動揺せず継続する

価格以外の価値を顧客に認識してもらい、選ぶ理由になるまでには一定の時間がかかります。価格訴求や値引きに慣れた顧客に、商品のこだわりやブランドへの共感などを選択理由として認識してもらうには、継続的な取り組みが必要です。

値引きや価格訴求を縮小した直後は、一時的に売上や販売数が落ちる場合もあります。短期的な変化だけで施策の成否を判断すると、価値の浸透が進む前に方針を変えてしまうことにもなりかねません。

中長期的な視点で価値訴求やブランドづくりを続けながら、STEP5で設定した指標を継続的に確認することが、方針を維持するための判断の手がかりになります。

価値を伝えてから価格戦略を見直す

価格競争から抜け出す際に意識したいのは、「価値を伝えること」と「価格を動かすこと」の順序です。まずは、価格以外で選ぶ理由を顧客に届けることを優先します。

そのうえで価格戦略を見直すことで、なぜこの価格なのかを顧客が判断するための材料を持った状態で、価格を提示できます。価値を伝えることと価格を動かすことを切り分け、順序を意識して進めましょう。

「なぜ値下げしないのか」を社内で共有する

価格競争からの脱却は、経営者やマーケティング・広報PR担当者だけで進められるものではありません。方針が社内で共有されていないと、営業担当者が受注のために値引きをしたり、店舗スタッフが価格だけで商品を訴求したりするなど、顧客との接点で方針が崩れることがあります。

「なぜ値下げに頼らないのか」「顧客にどの価値を伝えるのか」を社内で明確にすることで、顧客と直接接する場面でも一貫したメッセージを届けやすくなります。

個々の担当者が個別に動くのではなく、顧客接点で伝える内容を組織として揃えることが、施策を実践するうえでの土台になるでしょう。

価格競争を避けて選ばれる存在になった成功事例

価格競争から抜け出すための方法は、企業が置かれている状況や、自社が持つ強みによって異なります。ここでは、それぞれ異なるアプローチで価格以外の選ばれる理由をつくった3社の事例を紹介します。

事例1. 株式会社タカギ

インナーウェアメーカーの株式会社タカギは、品質やものづくりへのこだわりを持つ商品をつくりながらも、価格競争に巻き込まれ、経営状況が厳しい時期があったといいます。価値のある商品でも、顧客に伝わらなければ価格で比較されてしまうという課題を抱えていました。

そこで同社が取り組んだのが、社内では当たり前になっていた自社のこだわりや企業の想いを改めて整理し、顧客にとっての価値として発信することです。

自社が伝えたい情報を一方的に並べるのではなく、顧客の視点に立って情報を組み立て、プレスリリースなどを通じてものづくりの背景や企業の考えを継続的に届けました。

その結果、展示会やイベントで、プレスリリースや発信方法を参考にしていると声をかけられる機会が増え、他社からのコラボレーション依頼も増えたといいます。

タカギが価格以外の価値を伝えられた背景には、すでに自社が持っていた強みを顧客の視点から捉え直し、伝わる形で発信したことがあります。自社の魅力が十分に伝わっていない場合は、社内では当たり前になっている強みやこだわりに目を向け、顧客にとってどのような価値があるのかを整理することから始めましょう。

事例2.株式会社岡田商会

印鑑を扱う株式会社岡田商会は、業績が低迷し、倒産が現実味を帯びる状況に置かれていたといいます。付加価値がなければ価格だけで競うことになるという課題認識のもと、従来とは異なる商品づくりに取り組みました。

そこで企画したのが、猫のイラスト入りハンコ「ねこずかん」です。猫好きな友人に喜んでもらえる商品をつくろうと考え、それまでの印鑑とは異なる価値を持つオリジナル商品を開発しました。

発売後の注文は4件にとどまっていたため、PR TIMESからプレスリリースを配信。すると配信当日の夕方から注文が入り始め、3日間で5,000件を超えたといいます。

その後、「ずかんシリーズ」の販売累計は15万本以上に達し、多くのメディアにも取り上げられました。人気キャラクターとのコラボレーション提案や店舗での販売依頼など、新たなビジネス機会にもつながったとのことです。

岡田商会が価格競争から抜け出すきっかけとなったのは、従来の印鑑とは異なる付加価値を持つ商品を生み出し、魅力をプレスリリースで広く発信したことです。価格以外で選ばれるには、既存の商品やサービスに新たな価値を加えられないかを考えるとともに、その魅力を顧客やメディアへ届けるところまで取り組む必要があります。

事例3.側島製罐株式会社

愛知県を拠点とする老舗の缶メーカー・側島製罐株式会社は、業績が低迷するなか、価格競争から抜け出すことが課題となっていました。同社が手がける金属缶はコストが重視される傾向があり、輸送費の面でも不利になりやすい状況だったといいます。

そこで目指したのが、「値段ではなく、側島製罐に製品を作ってもらいたいと思われる会社」になることです。その取り組みのひとつとして生まれたのが、思い出の品をしまうための缶「Sotto」でした。1缶100円程度が相場だったなか、「Sotto」は1缶3,000円で販売。従来の価格競争とは異なる方向から、缶の価値を捉え直しました。

さらに、広報PR活動やホームページのリニューアルなどを進め、会社への新規問い合わせ件数は約5倍に増加。「Sotto」のプレスリリースは、2022年の「プレスリリースアワード」でインフルエンス賞を受賞しました。

側島製罐が取り組んだのは、価格を下げるのではなく、既存の商品に新たな用途を見いだし、価格以外で選ばれる価値をつくることでした。価格で比較されやすい商品でも、これまでとは異なる使い方や届ける相手がないかを見直すことで、新たな価値を見いだせる可能性があります。

まとめ:価格以外の「選ばれる理由」をつくり、価格競争から抜け出そう

価格競争を避けることは、単に値下げをやめることではありません。自社の商品・サービスが持つ価値を整理し、顧客に伝わる形で届けることが重要です。

  • 顧客が価格以外に評価している価値を把握する
  • 競合との違いや自社ならではの強みを言語化する
  • 顧客層や目的に合った方法で価値を発信する
  • 売上だけでなく、リピート率や指名検索数なども確認する

価格以外で選ばれる状態は、短期間でつくれるものではありません。顧客や現場の声を確認しながら、差別化・ブランディング・情報発信を継続して改善することで、値下げに頼らない集客・販売につなげていきましょう。

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この記事のライター

石田千尋

石田千尋

ライター・編集者。人材業界やIT企業での人事職を経て、現在は企業の採用広報やオウンドメディア、PRコンテンツ制作に従事。企業noteや採用サイト向けコンテンツのほか、ビジネスメディアでのインタビュー記事制作などに携わる。

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