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話題化とは?広報PRで戦略的に「語られる」状態をつくる方法と実践ステップ

話題化とは?広報PRで戦略的に「語られる」状態をつくる方法と実践ステップ
この記事でわかること
話題化とは、生活者やメディアの関心を集め、自発的な情報発信や拡散を生み出す広報PR活動です。この記事では、話題化の意味や認知拡大・パーセプション形成との違い、成功させるためのポイントや実践ステップを解説。成功事例やよくある失敗も紹介し、継続的に話題を生み出す広報PR施策を実践したい担当者の参考としても活用できます。

プレスリリースを毎月出しているのに、メディアに取り上げられない、SNSで一時的に拡散されても、問い合わせや採用につながっている実感がない。そんな悩みを抱えている広報PR担当者は少なくありません。

本記事では、話題化の定義から原因分析、具体的な施策と実践ステップ、成功事例までを解説します。自社の広報PR活動の見直しや施策設計にぜひ役立ててください。

目次
  1. 話題化とは:広報PRにおける「話題になる」状態の定義

  2. 話題にならない主な原因

  3. 話題化を生む広報PR施策10選

  4. 費用をかけずに話題化を目指す:低コストで実践できるアプローチ方法

  5. 話題化を実現する実践ステップ:企画から効果測定まで

  6. 話題化を後押しするポイント・成果を高める実務的なコツ

  7. 話題化に成功した広報PRの事例

  8. 話題化の失敗パターンと対策

  9. まとめ:話題化は設計と継続で再現できる

話題化とは:広報PRにおける「話題になる」状態の定義

バズること、認知が広がること、話題になること。これらを同じ意味で捉えていると、施策の設計も、成果の測り方も、ズレが生じてきます。まず定義を整理しましょう。

話題化の定義:認知拡大・パーセプション形成との違い

話題化とは、生活者やメディアの間で情報が自発的に語られ続けることです。よく混同されるバズや認知拡大とは、時間軸と深度が異なります。

バズは、SNSを中心に短期間で爆発的に広がる現象です。拡散力は高いものの、多くは数日以内に消えます。認知拡大は「その企業や商品を知っている」という状態であり、接触回数を増やすことで達成できます。

話題化はこの2つとは異なります。アプローチしたい対象者が自分の言葉でその企業や商品について語り、その内容が継続的に広がっている状態です。単に「知っている」だけでなく、相手のパーセプション(認識・印象)の変化を伴うことが特徴です。

また、この3つは目的も測り方も異なります。

  • 認知拡大は知っている人を増やすことを指し、接触回数を増やすことで達成できる
  • パーセプション形成はどう思われているかを変えることで、発信の内容や文脈が問われる
  • 話題化は、第三者が自分の言葉で語り、その情報が継続的に広がることで実現する

施策を設計する前に、自社が今どの段階にいるのかを確認しておくことで、打つべき手が変わってきます。

広報PRの実務で話題化を目指す場合、掲載件数や閲覧数といった一時的な数値を追うのではなく、「誰が・どんな文脈で・どんな言葉で語っているか」を把握することが、話題化の進捗を測る指標です。

話題化されることの効果

話題化が起きると、広告費をほぼかけない状態でも、第三者によって情報が市場に流通し始めます。その波及効果は、認知・採用・営業のすべての領域に及びます。

自分が商品を購入する際に、広告よりも友人の一言やSNSの投稿を参考にした経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。話題化とは、その信頼される第三者の声を意図的に生み出し続けることでもあります。

具体的な効果として、メディア掲載による信頼性の向上、SNSでの二次・三次拡散による認知拡大、採用ブランディングへの寄与、既存顧客のエンゲージメント向上などが挙げられます。営業面では、顧客が比較検討を始める前の段階で想起される存在になることにもつながっていきます。

なお、効果の出方は企業のフェーズや規模によって異なります。認知がほぼゼロの企業では話題化が存在を知られる突破口になり、ある程度認知がある企業ではパーセプションの変化が営業や採用の質に直結してくるでしょう。

では、なぜ自社では話題化が起きないのか。次のセクションでは、その原因を解説します。

話題にならない主な原因

発信量を増やしても話題にならない。その背景には、発信量が少ないという以前に、情報の設計そのものに問題があることが多いです。各原因を自社の状況に当てはめながら読み進めてみてください。

原因1.情報の「ニュース価値」が設計されていない

品質には自信があるのに、なぜメディアに取り上げてもらえないのだろうと感じたことはないでしょうか。多くの場合、品質の問題ではなく、ニュース価値の設計が抜け落ちていることが原因です。

メディアもSNSユーザーも、自社の都合ではなく自分が価値を感じられる情報だけを選びます。ニュース価値のない情報は、どれだけ配信しても語られません。

「ニュース性=メディアフック」の軸として、時流/季節性・画像/映像・逆説/対立・地域性・話題性・社会性/公益性・新規性/独自性・最上級/希少性・意外性の9つが挙げられます。自社の情報がこれらのどの軸で訴求できるかを設計し、配信前には漏れがないか確認する習慣をつけておきましょう。

「新商品発売のお知らせ」という情報は、メディアにとって広告と区別がつきません。この情報が世に出ることで、誰の何が変わるのかという問いを持つことが、ニュース価値設計の起点になってきます。

まず、なぜ今この情報が社会にとって必要かを1文で言語化することから始めてみましょう。

原因2.アプローチ先と届け方がズレている

「配信先は多ければ多いほどいい」「とにかく有名メディアに載りたい」。そう考えて一斉配信を続けていても、話題化への道は遠のいていきます。

どれだけ価値ある情報でも、届けたい相手に適切なチャネルで届かなければ話題は生まれにくいものです。業界専門紙や専門メディアへの掲載がマスメディア波及の起点になるケースは多く、対象を絞ったアプローチこそが話題化の足がかりになります。

まず自社の対象顧客がどのメディア・SNSを日常的に見ているかを整理し、そのメディアの過去の特集やコーナー内容を把握したうえで、情報提供先選定することが、届け方のズレを解消する具体的な手順になります。

原因3.社内目線の発信に終始している

自社の強みをしっかり伝えているはずなのに、なぜ反応がないのだろうと感じているとしたら、強みの発信と、語られる情報は別物だということを押さえておきます。

「優れた機能」「高く評価されている」といった表現は、裏を返せば自社がそう思っているという情報に過ぎません。メディアは読者・視聴者にとって価値ある情報を求めているため、企業の宣伝を無料で掲載するインセンティブはありません。

自社が伝えたいことを、社会が関心を持つ文脈へ置き換えることが必要です。これが切り口設計であり、話題化の核心にあたります。この情報は、社外の人間が読んで面白いと思うか、という問いを配信前に持つことが、社内目線から抜け出す第一歩になります。

原因4.発信タイミングが市況・生活者の関心軸とズレている

いい情報を出したはずなのに、まったく反応がなかったという経験がある場合、タイミングを振り返ってみてください。内容が同じ情報でも、発信タイミングによってメディアの関心度とSNSの拡散可能性は大きく変わります。

ニュースは、昨日・今日・明日という時間軸の中でこそ成立します。季節性・社会的出来事・法改正・記念日といった外部の関心ピークに自社情報を接続できているかどうかが、話題になるかを左右します。

年間の社会的関心カレンダーを作成し、自社の発信予定と重ね合わせる作業を四半期ごとに行うことが、タイミングのズレを防ぐ現実的な手段になるでしょう。

配信タイミングの詳細な考え方については、以下の関連記事も参考にしてください。

原因5.一度の発信で終わり、継続設計がない

1本出したけど反応がなかったから、広報PR活動に効果はないのかも。そう感じて発信を止めてしまうケースは少なくありません。

話題化は単発の露出で達成されるものではなく、継続的な発信によって積み上がっていきます。定期的に発信を続けることでメディアやSNSユーザーの認知は徐々に形成され、記者が知っている存在になることが取材への近道になります。

話題化している企業の広報PR担当者は、今のネタだけでなく、次、その次のネタまで見据えて準備しています。単発の発信ではなく、年間を通じた連続設計こそが、再現性のある話題化を支える基盤です。

原因が見えてきたら、次は具体的な施策を考える段階です。自社の状況に合わせて、取り組みやすいものから試してみてください。

話題化を生む広報PR施策10選

話題化を図る際の施策は複数あります。自社の規模・目的・フェーズに応じて選択・組み合わせることが重要です。各施策には向いている状況と注意点があるため、目的から逆算して選定しましょう。

プレスリリース

施策1.プレスリリース配信:話題化の起点をつくる基本施策

プレスリリースは、広告費をかけずに第三者メディアへの掲載を目指せる、話題化の最も基本的な施策です。

メディアを通じた記事化は企業の社会的信頼性に直結し、SNSでの二次拡散の素材にもなります。プレスリリースを話題化の種として機能させるためには、ニュース価値の設計が欠かせません。

PR TIMESのような配信サービスでは、業界カテゴリ配信・地域配信など、届けたい相手に合わせた配信設計が可能です。配信後のアクセス数・掲載メディア数・SNS言及数を追うことで効果測定も行えます。

配信後のフォローアップまでを、ひとつの施策としてセットで設計しておくことが重要です。反応を得られたメディアへの素材追加や取材提案など、配信後の一つひとつの行動が、次の掲載機会につながっていきます。

施策2.独自調査・自主リサーチの発表

自社が独自に収集・分析したデータは、独自性と希少性としての高いニュース価値を持ちます。数字があることで報道・引用・SNS拡散がしやすくなる面も強みです。

自社商品・サービスと関連する社会課題や生活者意識をテーマにアンケート調査を実施し、プレスリリースとして発信します。調査人数・手法・実施時期は、信頼性を担保するうえで必須事項となるため、明記することを忘れずに。

BtoB企業や中小企業でも実施しやすく、調査テーマを業界ニッチに絞るほど専門メディアへの掲載確度は上がります。調査結果はプレスリリースだけでなくオウンドメディア・SNSにも横展開することで、情報の拡散が促されます。

施策3.季節性・記念日・社会トレンドの活用

ゼロから話題をつくる必要はありません。生活者やメディアが既に関心を向けている行事に自社の情報を接続することで、話題化につなげられます。

メディアは季節の特集・記念日・法改正・社会問題に合わせた情報を常に探しているため、これらの需要に合わせた情報は、掲載確度が高まります。

〇〇の日、〇〇月間、〇〇法施行などと、自社の商品・サービス・取り組みを関連付けてプレスリリースを設計します。ただし関連付けが不自然にならないよう、自社との接点を論理的に説明できることが条件です。

社会問題をテーマにする場合は炎上リスクを伴う場合があります。センシティブなテーマは事前に社内でリスク確認を行い、ブランドとの文脈的な整合性が取れているかを判断軸にしてください。

施策4.クリエイターや専門家とのコラボレーション

かつてはフォロワー数の多さを基準にした起用が主流でしたが、エンゲージメントの低下や広告的な受け取られ方により、以前ほど効果が期待しにくくなっています。今は特定のコミュニティや業界で深い信頼を持つクリエイター・専門家との連携が、より実質的な話題化につながりやすい状況です。

選定の際はエンゲージメント率と、自社の顧客層との親和性を重視し、コラボ内容・期待する成果物・どのチャネルで発信するかは、事前に双方の合意が必須です。

PR表記の明示はステルスマーケティング規制への対応として求められています。また、起用前にはブランドイメージとの整合性を必ず確認しておきましょう。どれだけ話題化できても、ブランドの文脈から外れた発信は長期的な信頼を損なうリスクがあります。

施策5.SNSキャンペーン・UGC設計

ユーザー自身が語り手になる仕組みは、広告費ゼロで話題を連鎖させるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の本質といえます。「SNSで話題の〇〇」としてメディアに取り上げられるケースも増えており、SNS上の話題化がメディア掲載の起点になる流れも起きています。

ハッシュタグキャンペーン・フォトコンテスト・プレゼント企画などが代表的な手法です。参加のハードルを低く設計し、シェアしたくなる感情的な動機(共感・面白さ・承認欲求)を仕込むことが拡散の条件になります。

フォロワー獲得が目的になってしまうと、話題化にはつながりません。ブランド認知や購買への導線をどう組み込むかを十分に意識して設計することが必要です。

施策6.記者発表会・体験型イベント

記者にとって、直接見て体験できる情報は記事にしやすい素材のひとつです。メディア関係者を直接招き、商品・サービスを実際に体験してもらうことで、取材意欲と理解度が高まり、掲載につながりやすくなります。

絵になる・体験できる・専門家に聞ける、という条件が揃うとテレビ・動画メディアからの反応も変わってきます。記者が記事を書きやすいよう、取材導線を事前に設計して記者が書きやすい環境を整えることが重要です。

成果指標は来場者数より記事化率で設定する方が広報PRの目的に合っています。イベント後の素材提供や追加情報の提供が掲載件数に直結するため、開催後の動きもあらかじめプランに入れておくことが望ましいでしょう。

施策7.動画コンテンツの活用

生成AIの普及もあり、テキストコンテンツの量・質ともに飽和しつつあります。情報を受け手に届けるうえで、動画という手段がこれまで以上に重要になってきました。

動画は“絵になる”コンテンツとしてテレビ・Web動画メディアの取材素材になるほか、SNSでの自然拡散も起きやすいものです。短尺動画はスクロールの手を止める力があり、テキストでは届きにくい層へのリーチに有効といえます。

商品開発の舞台裏・社員インタビュー・体験型デモ動画などが代表的なコンテンツ。スマートフォンで撮影できるため、予算がなくても着手しやすい施策のひとつです。

動画をプレスリリースに添付することで、メディアへの情報提供にも活用できます。公開後は再生数・コメント・シェア数をモニタリングして、反応の傾向を次回制作に活かしましょう。

施策8.周年・節目イベント

「今年で創業〇年」は、それ自体がニュース価値を持ちます。企業固有の節目をニュースの起点にすることで、過去の実績と未来の方向性を同時に発信することも可能です。

周年は中長期の広報計画に組み込みやすく、節目に合わせた発信は時間軸でのブランドストーリー構築にも役立ちます。

5周年・10周年などキリのいい節目以外でも、社会的な意義を絡めれば話題化につながることも。節目を活用する場合は3〜6ヵ月前から準備を始め、当日の発表ではなくメディアには事前案内も行います。

施策9.受賞・認定・メディア掲載実績の活用

外部が認めたという事実は、どんな自社PRよりも語られやすい素材になります。特に認知度の低い中小企業やスタートアップにとっては、信頼性を一気に高める有効な機会です。

業界団体のアワード・公的機関の認定・調査機関によるランキング入りなど、自社が関わりうる機会を年間で把握しておくことが、いざという時の備えになります。

受賞後はプレスリリースで速やかに発信し、自社サイト・営業資料・採用ページへの横展開も行うことで、話題化の素材として最大限に活用できます。

施策10.社内の専門人材をエキスパートとして打ち出す

社内に専門知識を持つ人材がいるにもかかわらず、その存在が外部に知られていないケースは少なくありません。専門知識を持つ社員を対外的に発信することで、企業全体の信頼性と話題化の接点を広げていけます。

メディアは取材対象として「この分野に詳しい人」を常に探しています。専門家としての発信を積み重ねることで、メディアから自発的にコンタクトが寄せられる流れが生まれます。

対象となる人材の専門領域・発信テーマ・メディア露出の方針を社内で整理し、プレスリリースのコメント掲載・寄稿・取材対応などの形で継続的に掲載の機会を作ります。

続けるためには、本人が発信を前向きに捉えられる環境と、社内での承認フローをあらかじめ整えておくことが大切です。

施策はわかったが予算も人員も限られているという場合は、次のセクションを参考にしてみてください。費用をかけずに実践できる方法を紹介します。

費用をかけずに話題化を目指す:低コストで実践できるアプローチ方法

予算や人員が限られていても、視点と設計を変えることで話題化は実現できます。ここでは特にひとり広報・スタートアップ・中小企業に有効なアプローチを整理します。

アプローチ1.既存アセット(社員・社内制度・顧客)を切り口にする

話題化というと、新しい取り組みが必要だと思われがちですが、社内を見まわすと意外なところに種が見つかることもあります。すでにある人・制度・事実でも、切り口を変えるだけで費用をかけずに話題化の素材として活用できます。

メディアは商品情報だけでなく、人間ドラマ働き方の変化顧客の変容といったストーリーを求めています。社員のキャリアや顧客の体験談は、それ自体がニュース素材になります。

社内インタビューの実施・社員エピソードのプレスリリース化・顧客の導入事例の発信という3ステップで素材化できます。社内チャットの過去ログをくまなく読み返すような地道なリサーチで、思わぬエピソードや数字が見つかることがあります。それが取材の切り口になることも少なくありません。

アプローチ2.「らしさ」を尖らせて語られやすくする

情報があふれる現在、無難な発信は埋もれてしまいます。「あの会社といえば〇〇」と一言で語ってもらえるほどの個性を持つ企業は、自然に話題が広がっていきます。

ブランドや企業の個性が明確であるほど、他者が「〇〇らしい」と語りやすくなります。話題化は語りやすさを設計することと捉えてみてください。

自社の他社と明確に違う点やこだわりを1〜2行で言語化し、発信物のトーンと内容をそこから逆算することが、「らしさ」を育てる第一歩になります。

アプローチ3.ニッチメディア・専門メディアに絞って情報提供する

全国紙や地上波テレビへの掲載を目指すこと自体は間違いではありません。ただ、そこだけにこだわり続けると掲載の機会自体が遠のき、話題化のタイミングを逃すことになりかねません。業界・テーマに特化した専門メディアへの掲載が、話題化を生む最短経路になることがあります。

専門メディアの読者はそのテーマへの関心が高く、情報の信頼性も高く評価します。専門メディア掲載がマスメディアへの波及元になるケースも多いです。自社の業界に関連する専門メディア・業界誌をリストアップし、各メディアの傾向と担当者名を把握したうえで1本ずつ個別アプローチを行います。

メディアの読者にとってなぜこの情報が有益かを1段落で説明したメッセージを添えることが、一斉配信との大きな違いになります。この差こそが、メディア担当者の目に留まる可能性を高めるでしょう。

アプローチ4.業界内コミュニティ・勉強会を話題化の起点にする

口コミは、コストをかけずに話題化を生む経路のひとつです。業界のコミュニティや勉強会への参加・登壇を通じて、顧客の中で自社の存在が語られる状態をつくっていけます。

知人の広報担当が面白いことをやっているという情報が記者の耳に入るルートは意外に多く、業界内の口コミがそのままメディアへの紹介に発展することも。

勉強会・広報交流会への登壇、または主催という形でも話題化の接点が生まれます。登壇時に自社の取り組みを具体的な数字と事例で話すことが、信頼獲得につながります。

ひとり広報同士のネットワークは、情報収集とノウハウ共有の両面で心強い資産になります。まずは広報交流会や勉強会への参加から始めてみましょう。

アプローチ5.自社データの開示・公開によるナレッジ発信

持っている知見を、出し惜しみせずに発信する。それだけで話題化の素材になることがあります。自社の業務データ・ノウハウ・失敗知見を公開することで、業界内での情報源としての認知を獲得し、引用・言及が自然と広がっていきます。

役立つ情報を発信し続ける存在は、メディアからの取材対象になりやすく、SNSでのフォロー・シェアも広がっていきます。特にBtoB企業では「専門知識を持つ企業という認知が、信頼ブランドの構築につながります。

完全な独自調査ではなくとも、自社の経験に基づく知見を整理した情報がメディアの素材になることも。発信した内容が他メディアや企業に引用された際は、引用先のモニタリングを行い、関係構築のきっかけとして活用するとよいでしょう。

話題化を実現する実践ステップ:企画から効果測定まで

話題化は運任せではなく、設計と運用の積み重ねによって再現できるものです。5つのステップを順番通りに実行することで、一発勝負ではなく、継続的に語られる状況が生まれます。

ステップ

STEP1.話題化の目的と届ける対象を定義する

話題化の目的(認知拡大・採用・営業支援など)と、誰に語られたいかを最初に定義することが、施策を決める際の基礎になります。

目的が曖昧なまま施策を実施すると、成果が出ても何のために行ったのかがわからなくなり、次の施策に活かせません。経営層への説明も困難になるでしょう。

誰に・どんな文脈で・どう語られたいかを1文で言語化し、チームや上司と共有してから施策設計に入りましょう。

この1文が書けない場合は、定義がまだ不十分なサイン。話題化したい対象(商品・企業・人・取り組み)と、語ってほしい相手の属性を具体的に設定することから始めてみてください。

STEP2.「語られる切り口」を設計する

同じ情報でも、切り口ひとつでメディアの反応は大きく変わります。自社情報にニュース価値を持たせる切り口の設計が、話題化において実力差が出る工程です。

新規性・社会性・意外性・季節性・地域性・ビジュアル性の6軸を使い、自社情報がどの軸に乗りやすいかを判断したうえで情報を組み立てます。

「自社が言いたいこと」と「メディア・生活者が関心を持つテーマ」の重なりを探す作業が、切り口設計の基本です。この重なりが薄いまま発信しても、話題は広がっていきません。

STEP3.プレスリリースを軸に発信チャネルを組み立てる

プレスリリースを話題化の基軸とし、SNS・オウンドメディア・メディアキャラバンなどへの連動を設計することで、情報の届く範囲と深度が広がっていきます。

単一チャネルへの発信では、接触できる相手の幅が狭まり、話題化の機会を自ら制限することになりかねません。

プレスリリース配信を起点に、X・Instagram・自社ブログへの転載・要約を速やかに行い、特定メディアへの個別アプローチは配信と同日にメールや電話で実施。配信後は、48時間以内のSNS反応・ページビュー・問い合わせ数を確認し、反応があった接点を優先してフォローアップしていきます。

STEP4.メディア・SNS双方への波及を意識して配信する

メディア掲載とSNS拡散は、別々の施策として捉えられがちです。しかし現在は、メディア掲載がSNSで拡散される流れと、SNSで話題になった内容をメディアが取り上げる“逆流”の両方が起きています。どちらの流れにも乗れる情報設計を意識することが不可欠です。

配信日時はメディア・業種によって反応傾向が異なります。一般的にはメディア向けは週前半の午前中、SNS向けは昼〜夕方に反応が出やすい傾向がありますが、これはあくまで目安です。

自社の配信データを蓄積・分析していくことで、波及効果が出やすいタイミングが見えてきます。

STEP5.反応をモニタリングし、二次・三次の話題化を仕掛ける

話題化を実感したときこそ、手を止めてはいけません。その反応を素材に次の話題を仕掛けることで、マスメディア→SNS→マスメディアの循環が生まれ、話題化の持続性が高まっていきます。

配信後はSNS上での反応をモニタリングし、拡散しているコメントに対して公式アカウントから補足情報を発信することで、二次的な広がりを促せます。

初回配信への反応(メディア掲載・SNS言及・問い合わせ)を集計し、反応が多かったテーマや切り口を次の発信企画に組み込んでください。掲載が続いている間に追加情報・関連情報を重ねることで、話題の熱が冷める前に第二波・第三波をつくっていけます。

話題化を後押しするポイント・成果を高める実務的なコツ

施策の設計と実行に加え、発信物の細部の作り方と運用習慣が話題化の成否を左右します。明日から使えるチェックポイントとしてぜひ実務に取り入れてみてください。

ポイント1.「自社らしさ」と「社会的関心」の接点を探す

自社だけの話はPR、社会的テーマだけの話は評論。その掛け合わせが「なぜ今この企業がこれを語るのか」という文脈を生み、語られやすくなります。

自社の強みや個性と、世の中が今関心を持っているテーマが重なるところこそが、メディアとSNS双方に刺さる話題の発生地点です。

自社の強み・取り組み一覧と直近数ヵ月の社会的関心トピック一覧を作成し、重なりを探す作業を習慣にすることで、切り口の設計精度は変わっていきます。

ポイント2.数字・ビジュアル・ストーリーで語りやすくする

数字があると記者は引用しやすく、ビジュアルがあるとテレビ・SNSで使われやすく、ストーリーがあると読者の共感を呼びます。3つが揃うほど、話題化につながりやすくなっていきます。

抽象的な説明より具体的な数字・画像・人物エピソードの方が、メディアにとっても生活者にとっても語りやすい素材になります。

写真1枚の有無や質で掲載・不掲載がわかれるケースもあります。プロのカメラマンが撮影した写真が望ましいものの、撮影コストをかけられない場合は、スマートフォンで撮影した画像でも構いません。素材サイトで購入したイメージ写真より、どこにも出回っていない独自の写真の方が、メディア側の採用意欲を高める傾向があるためです。

ポイント3.メディア担当者が「記事にしたい」と思う一次情報を盛り込む

プレスリリースだけで記事が書ける内容になっているにすることがメディア掲載への近道です。

プレスリリースに数字・専門家コメント・ユーザーの声などの一次情報を盛り込むことで、メディアが記事化を判断する材料が増えます。

調査データ・導入企業のコメント・開発者へのインタビュー素材などを同梱することで、記者が記事を書くまでの手間を減らすことができます。

ポイント4.配信後のフォローアップをあらかじめ設計する

フォローアップは掲載のお願いではなく、記者が記事を書きやすい環境を整えることが目的です。このスタンスの違いが、メディアとの関係性の質を決めていきます。

配信後2〜3日以内に、反応がなかったメディアへ素材の追加提供や専門家への取材打診など、価値を添えたフォロー連絡を行いましょう。

「追加でお役立てできる情報があります」というスタンスを徹底することで、メディア側に応じる理由が生まれてきます。

ポイント5.掲載・拡散した情報を社内で横断活用する

話題化の効果は、広報部門だけで抱えていては半減します。メディア掲載は「第三者のお墨付き」として機能する素材であり、営業資料・採用ページ・SNS・メルマガなど複数の接点に展開することで、話題化の持続力が高まっていきます。

掲載実績をオウンドメディアにまとめておくことで、検索流入の獲得・信頼性の向上・次の取材依頼への導線づくりが同時に進んでいきます。まず掲載後に社内チャットやメールで共有する習慣をつけるだけで、話題化の二次効果は変わっていきます。

では、ここまでのポイントが実際の広報現場でどのように機能したか、次の事例で解説します。

話題化に成功した広報PRの事例

話題化は特別な企業だけに起きるものではありません。業種・規模・予算・担当者の経験値などそれぞれ異なる企業が、広報PR活動を通じて話題化を実現しています。ここでは、業種・規模の異なる3社の事例を通じて、自社に応用できる点を確認してみましょう。

事例1.商品ひとつひとつにストーリーを設計し、継続配信が売上のV字回復につながった|株式会社ワールドパーティー

傘ブランド「Wpc.」を展開するワールドパーティーは、コロナ禍の外出自粛により売上が大きく落ち込みました。業界全体が逆風にさらされる中、広報PRを通じてブランドの存在感をどう維持するかが課題でした。

年間700種類という豊富な商品ラインナップのそれぞれにストーリーを設計し、PR TIMESでの配信を開始。「傘をファッションに」というブランドメッセージを軸に、ビジュアルに特化したSNS運用とプレスリリース配信を連動させました。

配信設計にも工夫があります。タイトルや商品説明に競合との差別化できる点を盛り込み、機能性を訴求したい商品とイチオシ商品を交互に配信することで、プレスリリース全体にメリハリをつけました。ひとつの商品でも複数回に分けて配信する手法も実践。男性用日傘では段階的な配信によって注目が積み上がり、効果を実感したといいます。

結果として広報PR活動が業績のV字回復に貢献。配信のたびにメディアに取り上げられ、SNSでも拡散されるようになり、ヒット商品も生まれました。

年間700種類という規模は特殊でも、「商品にストーリーと差別化の視点を乗せて継続的に発信する」という考え方は規模を問わず機能させることができるものです。商品数が少ない企業ほど、1本の発信の密度を高める意識が話題化の土台になります。

事例2.「卒乳祝い」という切り口の設計で2.6万件の応募とメディア掲載を実現|株式会社ヤッホーブルーイング

「よなよなエール」で知られるクラフトビールメーカー、ヤッホーブルーイング。ビールは万人に求められる商材ではなく、購入する人が限られる嗜好品です。幅広い認知よりも、強く共感してくれるコアなファンとの接点をどう設計するかが重要なポイントとなります。

「卒乳」「イヤイヤ期卒業」など日常の中で見過ごされやすい節目に着目した「隠れ節目祝いセット」を企画。子育て中の人に寄り添う切り口を設計し、PR TIMESでプレスリリースを配信しました。できるだけ多くの人に届けるのではなく、強く共感してくれる人に向けて絞り込んだことが、話題化の起点になりました。

応募は2.6万件以上にのぼり、テレビ取材3件・新聞掲載8件を獲得。Xでは約8,000件のいいねを獲得し、SNSでの話題化がメディア掲載の波及につながりました。

万人に届けようとしない逆転の発想が話題を生んだ事例です。アプローチしたい対象が絞られるほど、強く共感できるという切り口は、業種・規模を問わず応用できます。

事例3.見よう見まねのプレスリリース1本が3日で5,000件の注文を呼び込んだ|株式会社岡田商会 

大阪のはんこ町工場が独自商品「ねこずかん」を発売したものの、3日間の注文はわずか4件。販路もなく、倒産の危機に直面していました。

当時、広報PR活動の経験が全くなかった二代目の岡山耕二郎さん。起死回生の一手としてPR TIMESからプレスリリースを見よう見まねで1本配信。イラスト入りはんこというビジュアルで伝わる商品特性と、町工場というストーリー性が、意図せずニュース価値を持つ形になりました。

配信当日の夕方から注文が急増し、3日間で5,000件超が殺到。テレビ・新聞など多数の取材依頼が届き、累計15万本超のヒット商品に成長しました。

完璧な準備や専門知識がなくても、ビジュアルで伝わる素材とストーリー性の2点が揃えば話題化の起点は作れます。この2点はどのような業種・規模の企業でも社内に存在するもの。まず1本プレスリリースを出してみることが、話題化への大きな一歩となりえます。

話題化を設計するときには、陥りやすい失敗パターンを事前に把握しておくことも重要です。

話題化の失敗パターンと対策

話題化は意図的に設計できる一方で、やり方を誤るとリスクにもつながります。よくある失敗のパターンを事前に把握しておくことが、施策を実行する前にできるリスク管理となります。

失敗パターン1.話題化を目的化してしまい、本来のメッセージが伝わらない

話題化はあくまでブランド認知・信頼形成・営業支援などビジネス目標の手段です。話題になること自体が目的になった瞬間、発信の方向性はブレ始めます。

とにかく話題になりたいという欲求が先行すると、ブランドメッセージと無関係なコンテンツを作ってしまい、話題になっても企業イメージが定着しない状態が起きます。

施策を企画する時点で、この話題化によって誰にどんな行動を起こしてほしいのかをはっきりとさせて、話題の設計から最終的なゴールへの導線が描けているかを、一度確認してみてください。それだけで、目的のズレを防ぐことができます。

失敗パターン2.炎上・批判リスクの想定が甘い

話題化に向けて実行する施策ほど、意図しない文脈で炎上するリスクを内包しています。SNSの特性上、批判は拡散されやすく、特に社会問題や特定の属性・価値観に関わるテーマでの発信は慎重な設計が必要です。

発信前に「この情報が誰かを傷つける可能性はないか」「意図と異なる解釈で読まれる可能性はないか」を広報外の社員も含めた複数人でチェックする体制があれば、ほとんどの場合リスクを回避できます。

社内合意のないまま尖った発信を行うことも、失敗につながりやすいパターンのひとつです。あわせて、経営層・法務・関係部署への事前確認を丁寧に行うことが大切です。

失敗パターン3.効果測定の指標が曖昧で次に活かせない

何となく話題になった気がするで終わらせると、成功・失敗の再現性がなくなり、次の施策への予算・人員確保の社内説明もできなくなります。

施策ごとに掲載件数・SNS言及数・自然検索流入数・問い合わせ数など具体的な指標をあらかじめ設定し、施策後に記録・比較できるようにしておきましょう。

指標は経営層が意味を理解できる言葉を用います。「掲載件数〇件」より「業界有力メディア3つに掲載され、自然検索からの問い合わせが前月比30%増」という形の方が、社内での評価にもつながりやすいでしょう。

失敗パターン4.SNSのトレンドに過度に振り回される

SNSのトレンドへの反応が速いことは強みになりますが、乗り方を誤るとブランドの「らしさ」を損なうリスクがあります。

トレンドは目まぐるしく変わるものです。ブランドの文脈と整合していない発信は、あの発信は何だったのかという印象を残すだけになりかねません。

SNSトレンドへの対応は、ブランドの文脈上で自然に参加できるかどうかが判断軸になります。無理に参加しないこともブランド管理のひとつの選択肢です。

短期的な反応を追う施策と、ブランドパーセプションを積み上げる施策は、別のレイヤーとして設計・管理していくことが、長期的な話題化を支えます。

失敗パターン5.一回の成功に満足し、継続発信が途絶える

話題化に成功した直後に発信の手を止めてしまう。これが惜しいパターンのひとつです。

話題の熱が高いときこそ、次の発信を重ねることで第二波・第三波をつくるチャンスになります。話題化とは瞬間ではなく状態であり、常に何かが語られている環境を維持することが、広報PRとしての理想の姿といえます。

成功後は最低でも2週間以内に関連する次の発信(フォロー情報・追加データ・関係者コメントなど)を行えるよう、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。

年間の発信計画として管理しておくことが、継続的な話題化の基盤になっていきます。

まとめ:話題化は設計と継続で再現できる

話題化は、運や偶然の産物ではありません。設計と継続によって再現できる広報PRの技術であり、規模や予算に関わらず実践できるものです。

本記事では、話題化の定義から始まり、話題にならない原因、具体的な施策と実践ステップ、成功事例そして失敗パターンまでを解説しました。

自分にもできるかもしれないと感じていただけたなら、まずはプレスリリースの切り口を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。「この情報は誰にとってどんな価値があるのか」という問いを持つだけで、発信の質が変わってきます。

明日の1本から、ぜひ試してみてください。

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PR TIMES MAGAZINE執筆担当

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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